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【ショートショート】背もたれに濡れ衣【隊長職変死の椅子】

   背もたれに濡れ衣

 騎士団の隊長が参謀の椅子に座ると死ぬという話があるが、N国騎士団小隊長の私はこの椅子に座って仕事をしている。私は何度も死線をくぐり抜けてきた男だ。功績を認められ、小隊長兼参謀に昇進した。仕事量は増えたが仲間たちに恵まれて充実した日々を送っている。
 私はこの手記の執筆で、あの椅子の馬鹿げた噂を嘘だと証明する。座っただけで死ぬという馬鹿な噂を真に受け、へっぴり腰の騎士には出世のチャンスなどない。私は今、毎日十六時間は働いている。昇進してからの半年間、ずっと休みなしでだ。こんなに元気な私の姿を見ればあの噂も嘘だと証明

 手記はここで途切れていた。
 机に突っ伏したまま死んでいる小隊長を見て、総帥は静かに首を横に振った。
「やはり、この『隊長職変死の椅子』は本物だ。しっかりと封じておく必要がある。それにしても、惜しい人材を亡くした……」
「大丈夫ですよ」総帥の傍で一人の騎士が口を開く。
「代わりはいくらでもいますから」


 毎週ショートショートnote
 裏お題:隊長職変死の椅子
 文字数403字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)