【長編小説】ノアと冬が来ない町 第八話 下へ
ナボッケの町に戻ることを決めたノアたちに別れを告げて、ヒョウガとコガラシマルはナボッケの霊山を下りていた。多少無茶な地形があっても氷や風を用いれば容易い。本当ならシノの助けになりたかったが、ナボッケの町の魔力と相性が悪い二人はどう考えてもお荷物になってしまう。それでもシノは「ありがとね」と言ってくれた。ただの気遣いかもしれないが、ヒョウガにとっては嬉しかった。
「とりあえず、きちんとした冬の町で休んでから改めて出発しよう」
「うむ」
崖を下りる。町に面する側は多少登りやす