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英語は日本語ではないと気づいた話

自分も外国へ行けるんだと知った私は、しかし壊滅的に英語ができませんでした。なんとかしなければ…と思った高2のある日、私は運命ともいうべき恩師に出会ったのです。


五文型って何。

中学生のときは、えいやっと想像すればなんとか英語が読めたような気がしました。実際それで志望校になんとか入ることが出来ました。しかし。春休み、誰も宿題なんてしないだろうとグダグダすごしていたら、私以外のほとんどの人がきちんと課題を済ませていて、あまつさえ、入学後のテストに備えていたのです。テストなんて聞いてません。

そして、順当にクラスでビリから3番目をとった私を、はじめに苦しめたものが、五文型でした。英語は、主語(S)動詞(V)目的語(O)補語(C)の組み合わせで5つのパターンに分けることができるんだそうです。オーケー、わかった。

I run. これがS+Vで第一文型ね。では、これは?I ran in the park yesterday. これもS+Vで第一文型なんだそうです。え?in the parkは?yesterdayは?

英語教師がドヤ顔で「modifier」だと言います。はぁ?もでぃふぁいあ?SVOCでパターン分けするんじゃないの?Mって何さ。もう私は第一文型で撃沈したのでした。

スプラッタ・リーディング

わかった。もういい。文法はアキラメタ。長文読解だ。中学時代は、長文の推理が得意だったんだよね。と、余裕しゃくしゃくでリーディングの授業に臨みました。

そして配られたプリントを見て私はぎょっとしました。

I don’t want to be late / for the appointment / at the dentist.
訳) 私は遅れたくない / 予約に / 歯医者の

日本語が無残に引きちぎられてる。フレーズで分けて読んでいく「スラッシュリーディング」など知らない私にとって、それは「スプラッタ」でした。ナニソノわやく、にほんごデスカソレ。はい、撃沈。

救世主あらわる

高校1年生の間は、テストの度にびくびくしていました。もう、授業で何をやってるんだかさっぱりわからない。わからないまま、すごいスピードで進んでいく。

高2に進級できたのは、頭のいい友達のおかげでした。彼女が「おもしろいラジオあるよ」と教えてくれました。それが旺文社の「大学受験ラジオ講座」でした。雑誌というかテキストを購入し、自分の好きな教科の講座を聞く。シンプルです。そして、私は救世主に出会うのです。その人の名は、宮崎尊先生でした。

英語は日本語ではない

尊先生は言いました。「英語は日本語じゃないんだよね」と。日本語は前から後ろの言葉を修飾します。「私は、歯医者の予約に遅れたくはない」だと、「歯医者の」が「予約」を修飾しますが、英語は the appointment at the dentist となります。日本語を母語とする私たちは、無意識に前から後ろの言葉を修飾しています。だから、英語を後ろから訳し上げないと日本語として意味がつかめない。でも英語は往々にして後ろから前を修飾する

そうか、英語は日本語じゃないんだ!

ユリイカ!我発見せり。やっと、あのスプラッタリーディングの意味がわかりました。それからというもの、尊先生の「後ろから訳すの禁止」を受け、ひたすら前から訳す「英語の脳」を作り出したのです。英語と日本語がちがうなんて当たり前のことが、わかった時、目の前にすーっと光がさし、ブラームスの「大学祝典序曲」が鳴り響いたのでした。

そしてまさかの…

やっと大学に入学し、一般教養の英語のクラスに出ると。ラジオの先生が、宮崎尊先生が、目の前にいました。(ラジオと同じ声だ。有名人がいる。有名人が~)自転車で30分かけて高校に通っていたような純朴な私。ラジオで人気の先生が目の前にいるなんて、びっくりしました。

「君たち政治学科だよねーじゃあ、これぐらい読めるようになろう」と尊先生はテキストに『USA Todayを読む』を選びました。ヘッドラインの読み方、新聞特有の言い回し、意見のまとめ方など、とっても実用的な授業でした。アメリカに関する話題も豊富で、面白かったです。

そして、私は一人旅をしたいことを先生に相談しました。すると、アウトプットの練習を専門にしたらいいよ、とアドバイスされました。そこで英会話の学校にも通い始め、なんかダブルスクールをするような、「英語大好き」みたいな学生になったのです。

あの高校時代の悪夢のような、泥をはむような英語の授業ってなんだったんでしょうね、母さん。





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