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自分も外国へ行けると気づいた話

なんでソ連だったんだろうな、とソ連旅の話を書きながら考えていました。そもそも、精神的にインドアな私が、けっこう色んな街を訪れています。なんで外国旅行へ行きたくなったんだ?とつらつら考えていたら、こんなことを思い出しました。

私は、成績は良くなかったんですが、なんとなく世界史の時間が好きでした。世界史の先生が話をすると、エーゲ海も、長江も、モンゴル砂漠も目の前に広がるようでした。一番好きだったのがティムールの話。その頃からサマルカンドは憧れの場所でした。

ある日、先生が「初めての海外旅行」の話をしてくれました。友人と歴史の雑誌に投稿しまくっていた大学生の頃。本を読んで、文を書いて、友達と話して、と日々を送っているうちに、どうにかして実物を、現地を見てみたいと思ったそうです。といっても、行きたい所は多すぎる。そんなにお金も時間もない。そこで、ひらめいたそうです。「大英博物館にいけばいいんだ!」

先生は、コツコツとお金を貯めて友人と2人でロンドンに向かいました。初めての海外旅行です。そして、大英博物館のそばに宿をとり、ただひたすらに1週間、大英博物館に通ったんだそうです。英語も話せなかったし、お金もなかったので、観光は一切しなかった、と。

高校生の私は、驚きました。外国へ行けるのは、英語が話せる人かお金のある人。英語もできない、留学なんか考えたこともない私には無縁のことだと思ってました。海外旅行も、お金のある人がツアーで行くものだと思っていました。

自分で行きたい所へ行って、好きなことができるんだ。

それから私は、世界史の歴史地図を見ながら、行きたいところをリストしました。一番行きたかったのが、イスタンブール。リゴス、ビザンチオン、アウグスタ・アントニーナ、コンスタンティノープルと名前がコロコロ変わっているのが面白かった。それから、ティムールが砂漠を駆け巡って建都した、青の都サマルカンド。アドリア海に浮かぶ水の都ベネツィア。エルサレム。カイロ。パリ。ロンドン。エジンバラ。そしてレニングラード。

行きたいところへ1人でも行ける。振り返れば、あのとき作ったリストの半分以上の都市に行っていました。部活に追われて、学校と家の往復ばかりしていた高校生の私が、大学生になって旅をして、美しさと驚き、知識、笑いと涙、友人、ほかにも色々な経験という名の宝石を集めることが出来ました。社会人になってからも色々な街へ行きましたが、やはり大学生の旅行は格別です。それはあの時、世界史の先生が「宝箱は手に届くよ」と教えてくれたからかなぁ、そんな感じがします。


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