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【速報】ネイティブの言い間違いを初観測

【Preface】

Hi guys, how are you today?
今日も今日とて眠い目を擦るより先に朝日の鋭さに目を覆うほかない凶悪な冬の終わりを迎えるケアンズからお送りしています。中国出身の同僚が言ってました。

Cairns doesn't have "winter".
We have only a hot summer and a cool summer!
ケアンズに冬なんてない。
あるのは暑い夏と涼しい夏だけじゃない!

それはわかる。
一応日本とロードトリップで離れていた合計10日程度を除けば、私はずーっとケアンズにいたので、「そうね!!!」としか言葉が出てきません。こんな時こそ使えるのが
Can't agree more.
これ以上賛成できない=それな、でしかない。

ちなみにケアンズ出身の店長は、It's a winter, for us.ってちょっとツノ口気味に言っててかわいかったです。なんの報告。

今朝はなぜか起きた時から良い方の虫の知らせとでも呼ぶような感覚があり、まあその通りに面白い発言やご縁がぽんぽんと私の周りを飛び回っていました。ゆずはぽんぽん飛んでなかった。今日ちょっとテンションやばいですね誰か止めてくれ、いやもっとやれと囃し立ててくれ。止められると反射的に逆らおうとする天邪鬼だから。

てな訳でやたらとハイテンションな肉声はこちら。今日は昼間っからずっと口の回りが良かったです。

今日のネタはタイトルとサムネの通りで、言い間違いをそのまま冗談にして笑い流すという高等テク?を観測したので、【速報】としました。かつその間違いからの遊び方が「せ、せつじ〜〜!!」って感じだったので(意味わかんないですね)興奮した。文法のわかる人間になっておいて良かったと心底思いました。てな訳で本編行きましょう。今日は短いよ。

【Do you think I can finish my shift now?】

この備忘録、第1回はレンタカー屋、前回は蝶々屋、そして今回はまたレンタカー屋と、まあネタの収集先がバイト先になるのは致し方ありません、なんせ仕事以外でそんなに人と喋らない、というか、仕事以外の時間があんまりない日々なので。暇さえあれば雪が降った日のワンコよろしく愛車でケアンズ周辺を駆けずり回っているもので。

そんなわけで、今日も今日とて真っ赤な襟付きTシャツに金髪で洗車に接客に勤しんでおりました。良い加減ボトムスも真っ赤なの探した方がいいかしら、などと詮無く考えながら……ないな流石に。

紆余曲折右折左折Uターンなど色々ありまして、私のシフトは基本平日13時まで設定してもらえてはいるのですが、その日の予約状況に応じて早上がりになることもしばしば。ぶっちゃけ、12時頃にはやること無くなって上がることが多いです。戦争なのは午前中だけ。みんな朝からその日を使い切りたいからね。お店閉まるの早いし。

てことで、今日は10時前には洗車する車も全部終わってしまい、その後ちょっと飛び込みのお客さんでばたつくも無事対応、「思ったより長く働けたな〜」くらいの気持ちで正午前に見出しの問いを店長に投げたわけです。「今終わって大丈夫そうですか?」お客さんも車も、予約のものは全て捌けた後だったので、店長も快諾。

【Can you serve the customer for me please…??】

普段、シフトが終わるや否やUberつけてお昼時の配達を拾いながら帰路にに着くんですが、今日に限っておやつを持ってきてたんですよね。ヨーグルトとベリーとナッツとオーツをタッパーにぶち込んだだけの私的完全食を。さらには、私がちょうどシフトを上がったタイミングで同僚がお昼休憩に入り、それぞれのお昼ご飯を食べながらちょっとおしゃべりしてたんです。そしたら、店長がひょっこりはんよろしくドアから顔を覗かせました。ひょっこりというよりはおずおずって感じでしたが。で、見出しの疑問文を言いにくそうに口にしたわけですね。

来客対応してもらったりできる……???

意訳するなら本当にこんな感じ。本当にペしょーんて垂れた耳と尻尾が見えるかと思った。

日本語でも、「できる」を依頼に使う人いますよね。割と女性に多い気がしますが。「ごめん、電話出られる!?」とか、「3卓オーダーいける!?」とか。これって「可能か否か」を問うているのではないですよね。これに「はい、いけます!」って言って突っ立てたら、文面的には問題ないんですが、ちょっと社会的にはまずいです。この問いが意味するのは、「可能ならやって」だから。

英語のCan you~?が「依頼」を表すのも同じ感覚です。「〜できる?」って聞いてる感じ。

Will you~?でもお願いはできるのですが、ちょっとニュアンスが違います。
詳しくは下の記事で解説しているので、興味がある人は読んでみてください。【Can You Marry Me!?】の項目で扱っています。

はい、話が見事に言語学徒らしい方向にずれました。戻ります。

基本このお店は午前中と午後の忙しさのギャップが凄まじいので、午後は2人いれば回るんです。ところがこの日は、私がシフトを上がり、同僚がお昼休憩に入った瞬間にお客様がご来店。3組同時に。なにそれ。私としては一回出勤してるわけだし、元々13時までのシフトだし、快諾してやれるだけのことはやりました。書類手続きの良い練習になった。会話を続けたり、ケアンズの観光案内なんかをサラッと挟みながらも手続きの手は止めないとか、私にはまだまだ神の領域でした。どっちかしかできん。日本語でもどっちかになりがち、というか手よりも口が仕事しがちなんだから、英語になったらもう、ね。それどころじゃないですね。無理。今は。まだ。

【Before leaving….】

そんなこんなでてんやわんやになりながらも、どうにかこうにか全員追い払っ、もとい対応して、さすがの店長もキャパオーバーに近かったのかもしれません。私が本日2度目の「帰って平気?」と訊ねた時のことです。
サムネの発言が飛び出したのは。

Yeah, thank you so much. Before leaving, can you checkly quick…,quickly check, check quickly, checkly quick??

字面だけ見ると突然の駆け込み客ラッシュにノックアウトされた店長がバグったみたいに見えますが、2回目以降はふざけて言ってました。大丈夫です。うちの店長は壊れてません。ご両親ににてお茶目なんです。

なんちゃって言語学徒にしたら垂涎ものの現象です。
副詞の接尾辞lyだけ動詞に誤接続しちゃってる…!!!!かわいい!

言語学者の子供は一々の発語のたびに関心・感動されるから居心地が悪い、なんてネタをTwitterで見かけたことがありますが、似たような感動ですね。ネイティブの自然な言い間違い!!!我々第二母語話者のミスとは訳が違います。すぐに言い直して笑えるのは、それがおかしな言い回しだと感覚で"わかる"から。
「きれい部屋」は良くて、「汚いな部屋」はわかるけど変
逆に
「汚い部屋」は良くて「きれい部屋」は言わない、
とかと同じ、母語話者感覚ってやつですね。

端的に言って、興奮しました。知的興奮。わ〜!本当に私が学んだ分類の感覚で区切ってて、かつネイティブの感覚があるから、すぐ「ん?」ってなるのか!と。
英語話者の「疲れてる時の言い間違え」なんて遭遇したことなかったので。これこそリアルじゃん!と。

【Postscript】

てな訳で、ただの私のフェティシズムを暴露しただけみたいな記事が出来上がったように見えますが、みなさまお気づきでしょうか。
こんなふざけた記事にここまでお付き合いくださった、辛抱強いみなさんに伝えたいこと。

ネイティブでも間違えるんやで!!!

これにつきます。いつも通り、自分達が母語で喋ってる時のことを省みたら当たり前なんですけど。
完璧で綺麗な、間違いのない日本語を喋ってますか?

私は喋ってません。無理です。
産業カウンセラー養成講座を受けていた時のことです。面接実習っていう、要はリアルなロープレをやるんですが、それ、録音するんですよ。で、持ち帰って、全部書き起こすんです。その上で書き置きしたものを自己評価する、という、自意識過剰にとっては地獄のような課題がありました。

書き起こすとわかるんですが、しゃべり言葉ってほとんど読点がないんですよね。古典よろしく、「〜して、でも〜って思ったんですけど、〜かなーって言われたらやっぱりそうか、〜なのかって…で、〜が……」みたいにつらつらつら〜っと続いてるんです。書き起こしてみて改めて、しゃべり言葉ってなんて適当なんだ、と逆に関心すら覚えた記憶があります。

私たちだって、母語の日本語すらまともに扱ってないんだからさ。
英語なんて外国語で喋ろうっていう時だけ、まともに扱おうって気負うのやめない???

What are you afraid of?
Is it real?
こんな風に自分に問いかけてみてもいいかもしれませんよ。

てことで、なんかいい感じのこと言ってそうにうまいことまとまったんで終わります。

Thank you for reading.
Hope to see you soon.
Can you come back to me, please!?


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