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若者のまま年老いていくロスジェネ世代

ツイッターをスクロールしているとイーロン・マスクCEOによってアルゴリズムが変更されたであろうツイッターAIが、お前にぴったりの広告はこれだ!と恐ろしい内容の広告を投げつけてきた。

それは30代、40代、50代へ向けた「中高年専用出会い系アプリ」の広告であった。まだまだ気持ちは20代のアラサーアラフォーを50代と一括りにして「中高年」とばっさり切り捨ててくる切れ味ある広告に思わず笑ってしまった。いつまでお前らは若いつもりでTinderやPairsやWithで出会いを探しているんだ?10代20代に交じって見苦しく足掻くのは辞めて中高年同士で身の程を弁えた出会いをしてサッサと結婚しろ!と喝を入れられた気分である。

ただアラサーはまだ恋愛結婚に多少夢を見ても良い年齢であろう。事実30代前半で恋愛結婚し駆け足で子供を作れば40までに幸せな家庭を築くことは可能だ。しかしこれが40代、50台、俗にいうロスジェネ世代となればそうはいかない。

35歳を超えてしまうと生涯未婚率が急上昇する恐ろしいグラフは婚活業界では常識である。にもかかわらず、なぜ未婚のロスジェネ世代に夢を見させるようなアプリや情報が世の中に溢れているのであろうか?それはロスジェネ世代が年齢別人口数を見たときに最後のマジョリティ市場であるからだ。

我々ロスジェネ世代の下の世代、ゆとり世代や平成生まれのZ世代は少子化の煽りを受けて人口が減り続けている。これまでの最大人口世代は知る人ぞ知る団塊世代であったが、その団塊Jrであるロスジェネ世代は最後の巨大市場なのだ。ロスジェネ世代が就職氷河期と、お見合い結婚から自由恋愛主義への転換にさらされ結婚できなかったため、次なる巨大市場となるはずだった次世代Jrたちが産まれなかったのだ。皮肉にもそのことがロスジェネ世代の数的有利を作り出してしまった。

その結果、コンテンツ企業が孤独なロスジェネの渇きを癒すコンテンツを大量に供給する土壌が出来上がってしまった。スラムダンクやジョジョといったロスジェネ御用達の過去作リメイク、行き場を失った父性や母性を発散するアイドル産業、中年向け出会い系アプリ、それらすべてが「40代はまだまだ若い!だから頑張って若者時代のように消費し続けて!」という企業からのメッセージである。

政治家たちも、もはや年齢的に人口を再生産できなくなったロストジェネレーション世代を救うことはしないだろう。しかし団塊の世代が退場するこれからの日本において、ロスジェネ世代の票田は大きな力を持つ。政治は決してロスジェネ世代に喝を入れることも、かといって救いの手を差し伸べることもせず、静かに高齢者となるまで静観を続けるだろう。選挙前には金銭的に苦境に立たされるロスジェネ世代に現金やコメを配ってくれるかもしれない。

このように社会はロスジェネ世代が永遠に若者のまま、20代の頃のような消費をし続けてくれることを願っている。我々ロスジェネ世代としてもいつまでも若者扱いして甘やかしてくれる社会は大変ありがたい。誰だって歳を取りなくない。永遠の青春を生きたい。俺たちはまだまだ若い!やれる!20代や30代にだって負けない!今でも背表紙が日焼けしたスラムダンク全巻を読み返せばいつでもあの頃に戻れる!

しかし現実は残酷である。いつまでも若者気分でいた筆者も、アラフォー突入と共に様々な老化現象に襲われることになった。

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