見出し画像

ロスジェネ世代は三度焼かれる

極寒の就職氷河期に晒されボロボロになりながらなんとか生き延びてきたロスジェネ世代が再び大きな問題に直面している。それがえげつない少子高齢化により年々負担が大きくなる社会保障費、毎月の給与から天引きされる巨額の税金である

極寒の就職時期を乗り越え、30年近く雀の涙程度の昇給を積み重ね、齢50になりようやくそれなりに稼げるようになって来たロスジェネの給与からモリモリと税金が引き落とされて行く。毎月給与明細を見る度に総支給額と手取りとのあまりの差に愕然とする40代50代のサラリーマンは多いのではないだろうか?どれだけ悔しくても我々知識も時間もないサラリーマンは節税することは困難だ。泣きながらお国に税金を納めるほかない。

日々目減りしていく手取りに追い打ちをかけるのが止まらないインフレである。コロナ騒動が終焉を迎え、ロシアウクライナ戦争が勃発した辺りから急激なインフレの波が日本にも振りかかってきたのだ。実質賃金の低下と物価の上昇、まさに前門の虎後門の狼だ。もし噂になっている住宅ローン金利の引き上げなどが行われれば、せっせと住宅ローンを返済している子持ちロスジェネたちは今以上の大ピンチに陥ってしまうだろう。

経済産業省:2013年ごろから物価の急激な上昇、名目賃金と実質賃金の開きが拡大

さらにロスジェネ世代は未来すらも危うい。政府は退職金への課税制度の見直しを10年から15年後の猶予が必要だとの見解を示し先送りすることを発表した。支持率低下に喘ぐ岸田政権としては、人口のマス層である60歳以上を敵に回すわけにはいかなかったのだ。2023年現在のロスジェネ先頭集団の年齢は50代前半、10年後に退職するであろうロスジェネたちが退職金課税制度見直しの最初の生贄に選ばれることとなった

筆者は以前より、今の高齢者に偏った歪な社会保障制度改革の生贄にロスジェネ世代が焼かれることを予測してきた。しかしまさか老人になる前、現役で労働しているこの時期から、老人を支えるための人柱にされることまでは予想できていなかった。

高齢者向け社会保障費の増加による現役世帯への負担増は当然ロスジェネと同じく現役で働いているゆとり世代やZ世代にも振りかかっており、このペースで税率アップが続けば若い世代の若者、特に男性は家族を養える十分な稼ぎ、手取りを得ることが出来ずに未婚者が増加してしまうだろう

例え結婚したとしても、経済的、時間的余裕の無さから子供を複数人持つことを諦めてしまう夫婦も増えてしまうはずだ。そうなれば10年ともたずに現役世代は干からびてしまう。現状のペースで少子高齢化が進めば社会保障制度はロスジェネが後期高齢者になる頃には確実に崩壊する。

就職時期はバブル崩壊による氷河期に晒され、何とか働き人生が軌道に乗ってきたところで今度は少子高齢化とインフレによって挟み撃ちにされ、ようやく定年を迎えるころには退職金に課税され、トドメに崩壊した社会保障システムという負の遺産を背負わされる。ロスジェネ世代は過去、現在、未来、すべての時間軸で3度も焼かれることになってしまったのである

ただロスジェネ世代の皆に言いたい。諦めるにはまだ早い。

過去は変えられないが現在と未来は変えられる。そしてそのために出来ることがたった一つ残されている。それが……

ここから先は

1,943字 / 1画像

¥ 250

この記事が参加している募集

仕事について話そう

お金について考える

サポート頂けるとnote更新の励みになります!いつもサポートしてくださっている皆様には大変感謝しています。頑張っていきますので、どうかよろしくお願いいたします!