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お前はどうしたいのおじさん

”お前はどうしたいのおじさん”は非常に幅広い生息域を持ち、ほぼ全ての会社に生息すると言っても過言ではないおじさんである。その生息域は窓際承認欲求おじさんに匹敵する。

彼らは部下や後輩に対して仕事の打ち合わせや会議、プレゼンの場で毎回こう問いただす。

経緯と今の状況、結果についてはよくわかったよ。で、お前は次にどうしたいの?』

管理職はもちろん期待されている中堅社員に対してこの質問が飛ぶのは理解できるが、どうしたいのおじさん達は往々にして入社半年から1年程度の若手社員に対してもどうしたいのパンチを容赦なく繰り出してくる。

まだ仕事を始めたばかりで振られた仕事をミスなくやるだけで手一杯の若手社員にどうしたもこうしたもない、正解もまだはっきりとはわからない彼らにはあまりに酷な詰問である。薄給の下っ端若手社員が本当にしたいことは目の前の上司から逃れることだろうがそれは叶わない。

どうしたいのおじさんは多くがグルーヴ感やその日の気分で詰問してくるタイプが多い。このタイプの詰問には意味がそれほどないので、あまり深く考えずに自分の意見を言えばいいだけである。マウントのためやストレスから八つ当たりで聞いてくるタイプの場合、困った顔をしながらしどろもどろで答える若手社員を見れば満足し、回答の内容に関係なく一言二言苦言を呈し、最後にありがてぇアドバイスをして終わるパターンが多い。ある意味やりやすいタイプと言える。

厄介なのがコーチング型お前はどうしたいのおじさんである。彼らは部下を一日も早く中堅社員へと成長させたい、そのために自主的に考える力を身に着けさせよう!と考えて日々お前はどうしたいの?と問いかけてくる。

彼らの一見まともそうであるが実はグルーヴ型マウントタイプよりもやっかいな存在である。この手のタイプは仕事に対するこだわりが強く、自分の中に確固たる答えを持っていることが多い。そして部下がその正解を言うまでどうしたいのラッシュをやめない。最終的にはしびれを切らして”ささやき女将”のように自分の求めることを言わせようと誘導してくる。主体性を育てるという大義名分はどうした?

コーチング型どしおじは成長を促してるつもりだろうが促しているのは退職である。コーチング型どしおじが生息する部署の離職率は目に見えて高い。

ここまで書けばわかると思うが、この手の上司は自分の考えを察知し、何も指示しなくても自分が思った通りに仕事をしてくれるスーパー部下が欲しいだけなのである。ただストレートにそう言いにくいので成長させるために!と大義名分を掲げているだけなのだ。ただし本人にはその自覚がなく、心から若手社員を育てるために!と思い込んでいるから始末が悪い。

この手のタイプが上司だと部下は苦労することになる。質問に対して目の前のおじさんが求める答えを選択肢の中からいかに選ぶかのゲームを日々こなすハメになる。ギャルゲーならぬオジゲーをである。なぜハゲかけたジジイ相手に頑張ってグッドコミュニケーション出して好感度を上げなければいけないのか?また往々にしてこの手のタイプは説明下手でコミュ力が低いおっさんが多く、無駄に攻略難易度が高い。目の肥えてしまった高齢婚活女子のような存在だ。本当に勘弁してほしい。

コーチング型どうしたいのおじさんの攻撃をかいくぐり出世したとしても、サラリーマンである以上どうしたいのラッシュは収まるどころか厳しくなっていく。中間管理職になると若手以上に上から容赦なく「お前はどうしたいの?」パンチが飛んでくる。慣れないうちは被弾してしまうかもしれないがこのラッシュをかわし切れない様では中間管理職は務まらない。また後輩や部下からも当然ながら「で、これからどうしますか?」の質問が飛んでくる。中間管理職は上下から挟み撃ちにされる苦しい立場なのだ。

また何時までも指示待ちの中堅社員に対して「こいつどうしたいんや…」と思う時もあるだろう。しかしコンプライアンスが叫ばれる昨今、昔ながらの厳しい詰問などすれば翌日には退職代行から電話がかかってきてもおかしくない時代である。部下を離職に追い込まないようオブラートに聞かなくてはならない。

ここからは若手社員のコーチング型どうしたいのおじさんの対処方法、中間管理職の立ち回りについて詳しく書いていこうと思う。

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