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窓際承認欲求おじさん

*新しいおじnote『お前はどうしたいのおじさん』を書きました。
*新しいおじnote『無能風役職おじさん』を書きました。

新入社員が最も気を付けるべき存在についてご存じだろうか?そう窓際承認欲求おじさんである。

窓際承認欲求おじさんは、中年になっても新人がやるような仕事を延々と何十年やり続けている能力は低いが仕事歴とプライドだけは高いおっさんたちのことだ。彼らは高い自意識を持ちながらそれを発散する場所がないため、常に講釈を垂れたり誰かに仕事とは!?について説法する機会を虎視眈々と伺いつつ、しょうもないルーチンワークをして日々を過ごしている。そんな彼らが色めき立つタイミングがある。そう新人の入社である。

職場のメインワークを任される主力社員たちは日々の業務で手一杯であり、上役たちもそれを重々理解しているため、なかなか彼らに新人の教育まで頼みにくい。そんな時に白羽の矢が立つのが新人でもできる責任の薄い仕事を何十年とやり続けいる窓際承認欲求おじさんたちである。

承おじたちはここぞとばかりに何も知らない新人に俺の仕事論を語り、慣れた手つきで十数年間繰り返してきた穴を掘って埋めるようなシンプルな業務内容を熱く実践披露する。何も知らない新人は会社で浮き気味の承おじの話でも素直に聞いてくれる。少しメンドクサイ性格の承おじに新人教育の仕事を振った上役たちも胸をなでおろす。ここまでは何の問題もない。しかし、1か月もすれば足るを知ることのない窓際承認欲求おじさんたちの自意識が爆発し出す。

「この会社は俺のおかげで回っている」「この会社の体制は腐っている。上の連中は何もわかっていないし下の連中もサボってばかりでダメ」「この前教えたやり方と微妙に違うじゃん、なんで勝手に変えるの?」「俺が昼休み削って働いているのに新人の君はなんでゆっくり休憩してるの?」「俺こう見ても若い頃は空手やっててさぁ~」

日ごろ誰ともコミュニケーションを取らず、しんどくて面倒くさいが評価はされない仕事を独りでこなしてきた承おじたちにとって、自分の話を聞いてくれる新人はまさに孤独という名の砂漠に突如ふって湧いたオアシス、たまりにたまった熱い承認欲求をぶつけ出す。こうなったら新人はたまったものじゃない。なんで仕事しに来ているのに孤独な中年のキャバクラに付き合わされないといけないのか?優秀な新人ほどすぐに承おじの理不尽さ、面倒くささを上役に相談しにいくだろう。しかしそこで帰ってくる言葉は「まあ承おじも言い方が良くない部分もあるけど上手くやってくれないか?先輩だし仕事に慣れるまでの我慢だと思ってさ」といった何とも歯切れの悪い回答であることがほとんどだ。

窓際承認欲求おじさんは新人からすれば実力もないくせに鬱陶しいだけのダメダメ先輩であるが、リーダーや課長、部長といった上役から見るとそうではない場合が多い。なぜなら窓際承認欲求おじさんたちは「使いやすい」からだ。

承おじたちはうっすらと自分たちが無能であることを自覚している場合が多く、その不安を払拭するために常に仕事を求めている。優秀だが小賢しい若者と違い、彼らは高い給与や出世のキャリアプランも求めない。彼らが求めるのは「いやぁ~君が頑張ってくれて本当に助かるよ」「君がいないと現場は回らないから」「君にしか頼めないのだけどお願いできるかな?」といった上役からの”承認”だけなのだ。少し褒めてヨシヨシしてあげるだけで誰もやりたがらない評価につながらない雑務を無限に引き受けてくれる。往々にしてそういった雑務は責任も発生せず難易度も低いため、能力のないが時間だけはある承おじたちに持ってこいなのだ。家族を持てなかったり、家に居場所がない彼らは休日出勤も厭わず安い給与で何十年も働いてくれる。承おじは上役から見れば使いやすいソルジャーなのだ。

そんなわけで、新人くんの訴えはほとんどの場合は受け流されてしまう。新人くんに残された道は窓際承認欲求おじさんの元を離れられるその日までシコシコと彼らの承認欲求を満たす仕事をし続けることだけである。

窓際承認欲求おじさんの中にも当然レベルがあり、ノーマル型窓際承認欲求おじさんならせいぜい新人に自分の仕事論を語る程度でありば、新人くんも薄ら笑いと相槌を打つだけでやり過ごすことができるだろう。金がないのであまり大きな見返りは期待できないが、缶コーヒーや牛丼などはドヤ顔で奢ってくれたりすることもあるだろう。

問題になるのがパワー型窓際承認欲求おじさんである。

パワー型承認欲求おじさんとは圧倒的な仕事量と偏屈な性格で確固たるポジションを得てしまっており、上役たちや同僚たちもアンタッチャブルな存在と化したモンスターである。女性の職場にいるお局さんに近いイメージである。彼らは難しいことをこなす頭やコミュ力はないため出世することはないが、その無尽蔵の体力とモチベーションで会社の様々な雑用仕事をすべてこなしているうちに「大した仕事はできないがへそを曲げられると雑務が滞って面倒なことになるおっさん」という確固たる地位を得ているのだ。

この地位を得てしまったパワー型承おじに捕まると、新人くんは地獄を見ることになる。パワー型承おじは偏屈な性格であることが多い。彼らは能力は低いものの圧倒的な雑務をこなすモチベや体力があるにもかかわらず出世できていない。なぜか?性格に難がありコミュ力が不足しているからだ。たとえ飛び抜けた能力がなくても、人より体力があり仕事にひたむきで最低限のコミュ力のあるおっさんなら、何らかのポジションを得ているはずである。それが出来ないからこその窓際承認欲求おじさんなのである。

パワー型承おじに捕まると仕事以外に居場所がないおっさんのモチベーションに付き合わされてへとへとにさせられ、逃げようと上司に訴えても、おっさんが不機嫌になり仕事回らなくことを恐れる上司たちは何もしてくれない。気の弱い新人くんは鬱気味になり退職。オラオラ系新人くんはパワー型承おじと大喧嘩して退職。コミュ力系新人くんが煽てまくることで何とかトラブルは防げるが、それを見た上司たちは「新人くんあの偏屈な承おじと上手くやれているな!よし!予定の期間が過ぎても彼らコンビを継続しよう!」というクソみたいな判断をされ、最終的に理解のある彼くんに疲れたコミュ力系新人くんも退職……どんな新人くんもパワー型承おじからは逃れられない。

ある程度の社員数が働く会社に勤めているサラリーマンの皆さんなら、職場に一人はいる窓際承認欲求おじさんの顔が思い浮かぶのではないだろうか?そう彼らは幅広く、どんな職種にでも存在する。彼らを避けることは非常に難しい。なぜなら会社にとって彼らは安価で使いべりの利く優秀なソルジャーでもあるからだ。

会社に一人はいる孤独を拗らせた窓際承認欲求おじさんたち、彼に対して上司はどのように指示を出し、新人くんはどのように受け流せばよいのであろうか?そして自らが気づかぬうちに窓際承認欲求おじさんに堕ちないためにはどうすればよいのであろうか?

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