経団連が財政健全化を支持する理由
本日はこちらのニュース。
財政健全化を行うということは国民の所得を税金で吸い上げて政府の債務残高を減らすということです。所得が減った国民は消費に回すお金が減ってしまいます。そのため企業からすると売り上げが減ってしまい困ってしまうことになるのですが、企業の代表でもある経団連がそれを求めているというおかしな状況。
財政健全化によって長期的には多くの企業が損をすることになるのですが、一時的には儲かる企業も出てきます。財政健全化によって政府はあまりお金を使えなくなります。政府がカバーできない範囲が広くなりそこに民間企業が参入してきます。
いわゆる規制緩和によっていままで公的に運営されていたものが民営化されるという現象です。民営化の歴史を振り返ってみると1987年の国鉄民営化までさかのぼることになりますからなかなかの歴史です。
民営化してしまうと利益を出すことが求められてしまいますから鉄道の場合料金の値上げや儲からない路線の廃止などによって国民に負担がかかってきます。
最近では電力自由化、水道民営化など私たちの生活に欠かせないものがどんどんと規制緩和されています。本来こういったものは利益が出ようが出まいが関係なく継続的に提供されるべきものです。
財政健全化という目標を立ててしまった弊害として政府の役割がどんどんと小さくなってしまい、その結果企業が恩恵を受け国民は負担を背負わされています。
大企業を支えている株主の存在も経団連を歪ませている原因といえます。
財政健全化とセットで消費税についても経団連は支持しています。消費税は消費に対する罰金ですから企業としては消費を減らす効果のある消費税はいの一番に反対しそうなものですが企業側と株主双方にとって利益となる方法があります。
一つは法人税の減税。グローバル化が進んだ結果「法人税が高いと企業が海外へ逃げてしまう」というでたらめがそれっぽく聞こえるようになってしまいました。法人税を減税することで企業は利益が増えました。それを配当金という形で株主に渡すことで両者ともにWin-Winの関係となりました。
二つ目に消費税は輸出した場合には還付されるという点です。大企業は特に海外での稼ぎも多いですから消費税が上がればその分だけ還付されて得をしているんじゃないかというわけです。ただこれには反対意見も根強くありまして、一概に得をしているとは言えないようです。
企業の株主への配当金のための利益拡大の悪影響は労働者にも迫っていまして、代表的なものは派遣社員、契約社員といった非正規雇用の増加です。会社に雇われてはいるのですが、正規雇用に比べると賃金も低く長く働いても賃金は上昇せず、社会保障も不完全で、経済ショックが起きた時には真っ先に首を切られてしまう不安定な雇用形態です。そのため子供を産み育てることはおろか結婚することもできないという人が増えてしまっています。
簡単に言うと労働者から搾り取ったお金を株主に渡しているという感じですね。
いくら利益を上げることが目的とはいえ、社会に悪影響を与えるような行為はすべきではないですし、国民の生活を守る、社会を安定化させる立場にある政府はこういった企業の株主至上主義を是正するべきなのですが、むしろ政府がそれを助長してしまっているという…。
近江商人の「売り手よし 買い手よし 世間よし」の三方よしという考え方でいうと完全に売り手よしだけを追求してしまっている状況ですね。
三方よしに代わって「今だけ 金だけ 自分だけ」のグローバリズム主義者の考え方に経団連は変わり果ててしまったのかもしれません。
政府に財政拡大を求めて、消費や投資を活性化させ、雇用を守りながら人々の生活を豊かにするような財やサービスを提供することが企業がとるべき行動と思うのですが、なかなかそうはいかないようで…。
圧倒的に経験値が豊富で賢いと思うのですが、どうも目先の利益にばかり目がいってしまっている印象。
経団連が国民のために動いてくれることを祈ります。
いただいたサポートは就職活動の交通費などに充てようと思っています。