大企業優遇政策

本日はこちらのニュース。

法人税の一部を政策的に減税する「租税特別措置」(租特)で、資本金100億円超の巨大企業が受けた減税額の総額が第2次安倍政権発足以来、少なくとも3兆8000億円に上ったことが分かった。全体の6割を超える。財務省資料から本紙が集計した。専門家は「巨大企業ほど優遇されており、企業間の不公平感を招いた」と指摘。安倍政権の継承を掲げる菅義偉すがよしひで氏による次期政権でも、巨大企業への優遇姿勢が続く懸念がある。(大島宏一郎)

消費税増税の裏で法人税、所得税が減税されていたという事実は格差拡大を政府が促進していたことになります。さらに法人税の内訳をみてみると、大企業ほど優遇されていたことが分かってきたそうです。

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グラフを見ると確かに大企業(資本金100億円超の企業)が占める割合が大きいです。しかし13年以降の伸び率でみてみると大企業よりも1億円以下の中小企業の方が伸びているようにも見えます。

金額ベースでみてしまうとどうしても利益の多い大企業が大きくなってしまうでしょう。消費税の負担「額」でみると低所得者よりも高所得者の方が多くなるのと同じように。

負担「率」で見てみますと

18年度では中小は18%、中堅は20%なのに対し、巨大企業は12%にとどまった。本来、法人税は利益の23%分(地方分を除く)を支払うが、租特による減税効果が巨大企業ほど大きいことを示している。

大企業の方が優遇されています。所得税の累進課税のように稼ぐ力のある人ほど税負担を増やし、格差拡大を是正するべきと思うのですが、真逆の税制度となってしまっているようです。

これに対して大企業が儲かることで中小企業にも恩恵が得られるというトリクルダウン理論を持ち出す方もいますが、それが起きないことは現実を見れば明らかです。

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資本金10億円以上の法人企業の配当金(兆円)の推移(http://mtdata.jp/data_68.html#haitoukinより)

2012年の安倍政権以降、配当金が今までの比でないくらいに増えているのが分かると思います。つまり、大企業優遇の法人税減税によって余ったお金は大企業の株主に配当金という形で流れていったということです。

それでも「法人税が高いと企業が海外に逃げてしまう」といった主張をする方もいると思いますが、それも適切とはいえません。以前にも書きましたが、法人税を理由に海外へ移転する、進出する企業はあまり多くありません。ほとんどの企業は需要があるから海外に向かうのであって法人税どうこうは大きな影響を及ぼしません。

安倍総理が辞任し菅総理が選ばれましたが、安倍路線の継承となるとますます大企業優遇が続くと思いますし、菅総理は「中小企業の再編」を訴えています。中小企業と大企業との格差はますます開くことになってしまうでしょう。さらに地方と都心部の格差も開いていくと思います。

大企業優遇を見直し日本経済が豊かになることを祈ります。

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