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今どきの老人の話 前編

 若いときから、人と違うおかしな行動が多かったので、今どきの若い人は……など酷評された私。でも老人が増えて、自分も含めて「今どきの老人は」と自戒することが必要なのではと感じた出来事があった。

 私と夫は、引っ越しする。はじめ、不動産仲介の営業さんとは、メールだけでいろいろやりとりしていた。こまめなかたなので、最後はこの方にお願いしたいと決めていた。

 しかし突然時間ができて、見に行けそうな物件があり、その仲介業者に連絡すると担当の、仮にYさんとする方が公休でいなくて、別の人の応対をうけることになった。その人は可も無く不可も無く、不快な印象を与えることも無い、営業はこんな感じなのだろうという雰囲気だった。

 引っ越しを考えてから、いろいろな仲介業者の担当さんに出会った。お気に入りの会社だけでなく、物件によってはその会社で扱えないものもあったからだ。みなそつが無く、きりっとしていて私のイメージする営業マンらしかった。そしていよいよ、本当にここに決めたいとキャンセル待ちしていた物件があいたとのことで、メールだけでやり取りしていたYさんに会うことになった。

 1回目は、私とだけ会った、体をゆらしながら人の目をみないで話すので、なんとなく不安になった。緊張しているのか落ち着かない雰囲気で、言葉の端端が丁寧ではない……。態度も言葉も投げやりに感じるなどなど。私は無意識に「今どきの若い者は」という目線でネガティブチェックをしていた。どうしてそんなことをしてしまったのかわからない、もちろん相手にも私が怖いおばあさんの雰囲気をだしてしまっていたのかもしれない。とりあえず、3年しか住めないこと、しばらく空室だったこと、特に修繕しないので現状のままはいってほしいことなどを話してくれた。

続く

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