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海の向こうに持っていきたいもの

テルアビブも安全ではない。アイアンドームが打ち落とし損ねたミサイルが街に落ちることもあり、一度だけ日本のニュースががれきになったテルアビブの住宅を報道した。そのときは時差も考えずに大丈夫?とラインするといつもは返事などこない息子から大丈夫という返事がきた。「?」と電報をうって「!」と帰ってくるような早さだった。

ライン以外にもWi-Fiがあればフェイスブックのメッセンジャーや、いまならディスコードなども連絡手段として仕える時代。巡礼では空港のWi-Fiにつなぐことが多かったが、今回は主人の提案でVPNのサービスに加入していく。ドバイがどんなところなのかわからない、膝を手術してくれた先生に定期検診で、トランジットで数十時間ドバイにいる話をすると「ぼくはラウンジでお酒ばかり飲んでいたからね」などと笑う。添乗員なしの旅行なのでお酒は飲まないわたしはどうしたらいいのか。とりあえず本を読むことしか決まっていない。

戦争が始まって最初に日本人を8万円で乗せて飛んだ飛行機はドバイについた。そのあとみんなはどう帰ったのかと思っていたが、エミレーツ航空がとんでいるのでお金のある人はみな自腹で帰国したのだろう。今回逆のルートをたどることを教会外の友人達はめちゃくちゃ心配している。観光ではないし、渡航制限は不要不急以外は制限無し。婦人科の定期検診では良好の返事とともに「まさかいかないですよね」と女医さんにいわれて「いきます」というと「とにかく飛行機の中でも足を動かして」とアドバイスされる。中にいる時間はこれまでの人生最大かもしれない旅行なので、「わかりました」と肝に銘じた。

いま一番、海の向こうに持っていきたいのはおんぶひも。それから息子達の無事はもとより、自分の健康を祈っている。交渉がつきて始まった戦争の、爆弾で死ぬのは運命だが、不健康で産後のお嫁さんに迷惑をかけるのは自己責任だから絶対に避けたい。一度はいきたいあの場所に、元気な状態で到着して昔ながらのおんぶひもで孫をくくりつけて家事をするのだ。ただ、せめて一カ所ぐらいは巡礼ではいくことができない場所があればいってみたい。とnoteには書いておこう。

#一度は行きたいあの場所

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