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ついつい言っちゃう

みなさんの周りには人の言ったことを何でも肯定する肯定人間がいませんか?

僕もその肯定人間かもしれません。いやもしかするとそれ以上に厄介な人間かもしれません。

なぜなら僕は人と同じことを言ってしまうのです。誰かが僕に向かって話してくれたことをそっくりそのまましゃべってしまうんです。意識しても直せなくて困り果てているところです。

そんな自分が恥ずかしくて恥ずかしくて嫌になってしまいました。こんなことならいっそもうしゃべれなくなってもいい、こう結論づけてしまいました。

すると偶然なのか運命なのか、僕は声を失いました。初めのうちは嬉しかったです。これで恥ずかしい思いをしなくて済むんだと心躍らせました。

しかしそうなると僕に話しかける人がいなくなりました。とても寂しかったです。ああ、僕は誰かに必要とされたかったんだとその時になってようやく気がつきました。

けれど時すでに遅し。過ぎたことは戻りません。声を失いたいと願った自分を呪いました。

僕は暗い部屋で一人ぼっち。このまま誰の役にも立たずに死んでしまうのか。そんな不吉な予感が心をよぎった時、奇跡が起こりました。

一筋の光が部屋に差し込み、やがてその光は大きくなり僕の世界を照らしました。

そこから手術を行いました。自分の体を他人に委ねることがあんなにも怖いことだなんて知りませんでした。手術経験者の人たちはすごいです。尊敬します。

手術は無事成功しました。嬉しかったです。これからは自分に自信を持とうと心に誓いました。

こうして無事に修理を終えた僕はマイクとして世界中で今日も人々に声を届けています。

おしまい

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