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東京マラソン2021でのサブ3挑戦に向けて取り組んだこと

テレワークでの運動不足解消のために走り始めて、なんとなく思い立って目指すことにしたWorld Marathon Majors Six Star Finisher。故障のループに陥りながらも抜け出して、月間走行距離300km超えが4ヶ月とそれなりに走り込めたのがランニング1年目でした。
そしてランニングを始めて1年1ヶ月。初めて申し込んでみた東京マラソンに運よく一発で当選して、ついに本格的にフルマラソンで記録を目指す準備を始めることに。

東京マラソン2021での目標設定

東京マラソンの当選通知をもらったのが2021年4月28日。大会本番は10月17日。準備に当てられる期間は約200日。この約200日間で自分がどこまで到達し得るのか。ベンチマークになったのはGPSソロで記録していた4つのタイム。

5km      19:31 VDOT51.3 (4/28)
10km    41:46 VDOT49.4 (4/11)
ハーフ 1:32:52 VDOT49.2 (5/5)
フル    3:40:42 VDOT42.0 (3/11)

サブ3(≒ボストン基準)の指標になるVDOTは53.5で、5kmの数字で見ても3時間6分台でサブ3レベルに達していないどころか、その3時間6分台さえも全くイメージができませんでした。現実的な目標設定に思えたのは3時間15分切り(VDOT48.7)で、10kmやハーフの再現性を高めつつ、フルでその走力を出し切るための準備をすること。これならやり切れる自信もある。この3時間15分が本当に現実的な目標に思えました。

でも…

目指しているのはボストン基準。東京マラソンはボストン基準の対象になるAIMS認定レース。ここでチャレンジしなかったら、次にいつチャンスが来るかも分からない。

最大の敗北は挑戦することを最初から諦めること

極めて精神論ではありましたが、こんな考え方で10月17日にサブ3を目指すことにしました。できる限りの準備は全部していく。それでも足りなそうだったら最後にレースプランを組み立てるときに冷静に分析して引き下げればいい…。諦める前に、まずスタートを切ろう。

トレーニング開始地点と目標地点との開きの確認

それまでやっていた月間300kmを目指す&あとは気分でペースを上げ下げするだけの練習、この延長線上にはサブ3はないと思い、トレーニング理論を勉強していくことにしました。
このとき特に参考にさせて頂いたのはげんさんのハシルコト。VDOTという指標や、ダニエルズのランニング・フォーミュラーを知ったのはこのブログを通してでした。

トレーニング開始地点のVDOTは51.3、サブ3レベルのVDOTは53.5でその開きは2.2。このVDOT53.5の各ペースを目標に、それぞれ練習での再現性を高めていけば達成できるだろうと考えましたが、この時点ではEペース上限の4:50は全くEasyではなく、かなり頑張らないと出せないペースだと感じていました。

具体的なトレーニングプランの設計

まだダニエルズ理論の初学者で極めて理解が浅かったことと、10月17日までの200日間で一気にサブ3まで引き上げたかったことの2点があり、
①期分けをせずに毎週同じメニューを繰り返していく
②現在のタイムに基づくVDOTではなく、目標レベルのVDOTで練習のペースを設定する
という2つの重大な間違いをしていましたが、GW明けから大会当日までの23週間のうち、最後の3週間をテーパリング期間、それまでの20週間を強化期間とし、下記のメニューを毎週こなしていくことにしました。

月曜 Eペース走10km+ウインドスプリント+前後1kmずつジョグ
火曜 休養日
水曜 Mペース走14km+前後1kmずつジョグ
木曜 疲労抜き30分ジョグ
金曜 Tペース走20分+αやりたいメニュー
土曜 疲労抜き30分ジョグ
日曜 ロング走(Eペース走30km)

結果的にラッキーだったのは、本格的なトレーニングに入る前に1年間で約2,800km走り込んできたことで基礎構築が進んでいて、すんなりトレーニングに入っていくだけの準備が整った状態になれていたことです。
コアな練習メニューに選んだのはTペース走とロング走。この練習メニューの検討に当たってもハシルコトを大変参考にさせて頂いていました。

Tペース走(乳酸作業閾値走)の練習経過と効果

サブ3レベルでのTペースは4:00/kmでこれを20分間継続するのが基本メニュー。それまでの5km自己ベストが19:31でしたから、最初は毎回がタイムトライアルに近いような設定でした。

①5/14 5.35km(3:44/km) ベスト更新18:41
②5/20 5.37km(3:44/km) ベスト更新18:37
③6/3   5.51km(3:38/km) ベスト更新18:12
④6/11 5.37km(3:44/km)+センバル5本
⑤6/25 5.34km(3:45/km)+センバル5本
7/16 5kmTT 17:25(3:29/km) VDOT58.5

それが毎週のように事実上のタイムトライアルを繰り返していくうちに、ほぼ同じペースでも余裕度が明らかに実感できるレベルで高まっていきました。毎週のように5kmベストを更新して、Tペース走に圧倒的な自信を持てるようになったこともプラスに作用したと思います。
8月末には練習回数も12回に達し、Tペース走20分+10分(レスト5分)のようなメニューも難なくこなせるようになるなど、非常に高い練習効果があったと感じています。

※気持ちはTペース走として取り組んでいましたが、本来の設定ペースより相当突っ込んだペースになっています。走力は高められましたが、明らかなオーバートレーニング状態で、長腓骨筋炎症を発症し8月前半は約2週間ほぼ休養に当てることになりました。

ロング走の練習経過

順調だったTペース走とは真逆で、ロング走の方は大苦戦していました。
当初はEペースでの30kmという考えではなく、毎週(18週連続で!)少しずつ速くしていって最後はキロ4:07くらいで余裕を持って走れるところまで引き上げるというプランにしていました。しかし、余りにハードルが高く、そもそも30kmをノンストップで走り切ることすらできずに計画は早々に打ち砕かれます。それでも分割したり2部練にしたりして、苦手意識を持ちながらも、1日に30kmをなんとか走ることだけは積み重ねていきました。

Mペースで30km(本番は42.195km)を走り抜けるレベルになかなか到達せず、かなりの焦りを感じていましたが、9月に入ってから本番に向けて仕上げるためにMペースで走れる距離を伸ばす練習に着手したところ、

9/11 21.1km(4:07/km) ベスト更新1:26:50
9/16 15.0km(3:56/km)
9/20 25.6km(4:08/km)
9/26 30.0km(4:08/km)

ときっちり数字を揃えられ、本番でサブ3を達成できるイメージを相当高めることができました。

苦手意識があったところから一気にここまで持ってこれた最大の要因は9月に入って気温が下がり始めたことだったと思いますが、粘り強くロング走を積み重ねてきたことも大きかったと感じています。この積み重ねがあったからそこそ、自信のあったTペース走の練習効果を融合せることができたんだと思います。

シンプルで当たり前のことを徹底的に積み重ねるしかマラソンで強くなる方法はないんだと思います。〜大迫傑〜

スタミナ強化とスピード持久力強化をそれぞれ積み上げ(一般性)、本番が近づくにつれ段々と特異性の高いメニューにしていく。この時は意識してこの形を作れていたわけではありませんでしたが、結果的にはトレーニングの基本原理に忠実な準備になっていました。

東京マラソン2021延期、そしてその先へ

ご存知のように2021年10月17日の東京マラソンは延期になり、大会は2022年3月6日に開催される予定になっています。
10月17日に大会コースでGPSソロを開催してサブ3のタイムを出しておくことも考えました。が、練習の継続性を重視し、もともとテーパリングを予定していた時期を最低限の疲労抜きとハーフと10kmのタイムトライアルに当てることに留めました。

現在は、3月6日の大会でサブ50をクリアすることに目標を上方修正し、トレーニングプランやスプレッドシートも大幅にアップデートして、さらなるトレーニングを積み重ねています。

10/3 ハーフ自己ベスト更新 1:23:04 VDOT55.9
10/9 10km自己ベスト更新 37:17 VDOT56.4

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