【演奏会感想】東響×ヴィオッティ

昨晩はこちらの演奏会へ。
・ベートーヴェン 交響曲第3番(以下「エロイカ」)
・R.シュトラウス 英雄の生涯

重厚でありながらも神々しい響きを軽やかに出せてしまう東響さん、さすが…。「エロイカ」も「英雄の生涯」も本当に素晴らしかった。今回は「エロイカ」の感想だけ書いておく。

まずこの曲は私にとって人生の準伴侶ともいえ、あまりにも勇ましい変ホ長調の響きにいつも感泣してしまう。聴いているとベートーヴェンを生んだこの大地に接吻をしたくなってしまうのだ(やめなさい)。それほど大切な曲でもあるので、理想とする演奏像があり、難のある聴衆であることは間違いないだろう。

1楽章は現代的な少し早めのテンポで少し気持ちが萎える。ただ尻上がりにオケの熱量が高まり、気分も徐々に高揚。コーダではいつも通り涙。

2楽章は「エロイカ」好きの私も、ベートーヴェンの交響曲で最も苦手な楽章の一つだが、緩急がしっかりついていて割と真剣に聴くことができた。

3楽章はただただ楽しい!(小並)

そしてアタッカで始まる4楽章、楽しい感情は高まり続けるとともに、首席奏者たちによる極上カルテットに酔った。そして終盤の向かうにつれ「トリスタンとイゾルデ」を聴いている時のように私の感情は絶頂へと向かい、オーボエのソロで涙。苦悩続きのベートーヴェンの生涯、いやもっと言えば、同じ運命を辿らざるを得ない人類の生に思いを馳せ、私はさらに涙した(泣くことは自分への同情だと喝破したショーペンハウアーを想起)。

これを聴くと、ベートーヴェンという存在の大きさに驚く。ハイドン、モーツァルトとは全く別のベクトルへ、そしてその後の作曲家もそれを追随するというよりは、ベートーヴェンという巨大な山を乗り越えず、登るべき別の山を模索しているという感じ。オペラでいえば、ワーグナー的な存在か。

今日は別の演奏会に行くが、余韻が抜けるかちょっと心配だ…。

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