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フロムから考える「欲しいもの」

先日先輩との会話の中で「欲しいものなんでもあげると言われたら何が欲しいんだろう?」という話題になった。今までは迷わずお金!とか、世界周遊の権利!とか答えていたが、改めて今問われると答えに窮してしまい、これには自分でも驚いた。

じっくり考えた末に捻り出した答えは「自分が納得するBe」だった。つまり、自分が最善の状態にあることが一番の望みだった。この考えはドイツの精神分析学の大家、エーリッヒ・フロムの″To Have or to Be?″(邦題『生きるということ』)に拠っている。本書は大学の先生に紹介していただき、大変感銘を受けた。

Haveという何か外生的なものを重視する生き方と、Beという自分の内生的な生き方を重視する生き方について考えられる一冊だ。外生的なものに依存すれば、何か持っているものによって自分が規定される。例えば、フェラーリを持つ自分、世界一周をした自分、○○という仕事をしている自分など。一方で内生的な生き方はその上で自分がどうあるかという状態に重きを置く。上の例で言えば、フェラーリを持つこと、世界一周、○○という仕事を通じて、自分がどう「ある」かということである。本書からはズレるが、HaveがBeの手段になるべきなんだと思う。

その意味でいま物質として欲しいものは特になく、最善の状態であるというBeが欲しい。煎じ詰めれば、いまこの瞬間の自分が最善だと思えることが最も尊いもので、人生をかけて欲しいものとして追い求めることなんだと思う。

余談・・・物質的な欲の中でも、Beの状態を陶冶してくれる「本」は例外的に欲しい(笑)

ちなみに、今回紹介した本はこちら↓


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