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『東京物語』に宿る日本美

世界に誇る日本の映画、小津安二郎『東京物語』を観た。あまりにも素晴らしい作品で観賞後、感無量という他なかった。その魅力の一つは、隅から隅まで日本的な美しさを散りばめられていることだ。

登場人物の言葉遣いや言葉の響き、言を尽くさない余白、相手への気遣い、死生観、自然への眼差しなど、すべてに日本的な美しさが宿っている。中でも、東山千栄子と原節子の言葉の響きはもう音楽を聴いているかのよう。かと思えば、音楽は突如停止し、場面や言を省略した大胆な空白がある。この余白こそ、古来日本が重んじてきたことではないか。


観賞後、日本を見渡してそんな美しさの面影を探したい一心に駆られた。今一度、原点に立ち返る必要があるかも知れない。

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