【演奏会感想】N響×トマ・コープマン
本日はこちらの演奏会へ。オール・モーツァルトのプログラム。しかも私が愛してやまない曲ばかり。
・交響曲第29番
・フルート協奏曲第2番
・交響曲第39番
好きな曲にもかかわらず、前半2曲は眠気にやられ、そこまでいい鑑賞ができなかった。
そして後半の交響曲第39番。
この曲には特に深い思い入れがある。それは一昨年リッカルド・ムーティの来日公演に行ったときに、彼が演奏前に語った以下の言葉が印象的だったからだ。
音楽に触れている人間なら何度も聞いたことのあるような言葉の連続だが、この世界情勢を前に音楽に何ができるのかを率直に聴衆に訴えかける。
それは「私たちは皆様のために演奏し、ウクライナの人々のために演奏し、苦しんでいる世界中のすべての人々のために演奏し」、「平和」や「愛」を祈ることである。一つの演奏会、一つの集団、一人の人間にできることは些細なことだが、いつか大きな成果に繋がることを信じて「E vo gridando: pace!
E vo gridando: amor!」と叫ぶのだ。
そのスピーチの直後に鳴ったモーツァルト39番の、世界の創造を思わせる序奏と、その世界に生きる歓びを感じさせる第一主題には思わず涙。以降、この曲を愛聴するようになった。
話を戻し、今宵はこの曲を久々に実演で聴いてきたのである。指揮者のトマ・コープマンはピリオド演奏を得意としているらしく、やはり個人的に好みではない快速のテンポ(ねっとり聴かせるベーム、カラヤン、ムーティの録音を聴きすぎ…?)。とはいえ、これはこれで面白かった。というのも、この曲は私にとって哲学的な思索へと誘う重い曲なのだが、今回の演奏が快速テンポであるために、全く違う印象を抱かせる。簡単に言えば、聴いていてただただ楽しい!指揮者の振り方も非常に愉快で、時に少年のような可愛い笑顔を見せ、それがストレートに音楽になっているのだ。短いリハーサルでこの要求に応えたオケも素晴らしい!ずっと聴いていたくて、曲が終わるのが惜しかった。
最初文句を言っていたものの、結局はそのくらい楽しめた。帰りは「つるとんたん」に寄り、美味しいうどんを食べ、気分上々のまま一日を終えた。
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