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ガウディに招かれる(スペイン・バルセロナ)
バルセロナ編
情熱の国と言われるスペイン突入。今まで寒かったヨーロッパの気候が嘘のようで、一気に真夏ムードで暑い。ヤシの木もそこら中に生えている。
気候と国民性は一致する気がしていて、情熱的な国民性はこの気候によるのだろう。
ちなみに、和辻哲郎の『イタリア古寺巡礼』の国民性に言及された箇所を要約すると
「寒い国では体を引き締める習慣がつくが、暑い国はだらける場合が多い。そのため寒いドイツにはいい体格をしたい人が多い反面、イタリアは日本と同じで貧弱でだらける傾向にある」という。
なるほど、分からなくもない…笑
トゥールーズに続き、世界史的な面白さはないがアントニ・ガウディの建築見たさにバルセロナ訪れた。
観光した場所は
①カサ・バトリョ (学生料金 約2700円)
②グエル邸(1200円)
③サグラダファミリア(2800円)
④グエル公園(1300円)
の4つ。どれも保存や建築費のため拝観料が高めに設定されている。パリのようにパス一つで回ることが出来ないので、一つ一つチケットを買う必要がある。前日に予約するのが良いかも。
この4つを見学してみると、建築に興味が湧いてきたので、帰国後は建築関連の本を読み漁ろうかと。それ程、建築とは無縁な人でも、ガウディの凄さを知る楽しさがあると思う。(日本語やオーディオガイドあり)
他の観光スポットと比べて異質なのは、歴史ある高尚なイメージの世界遺産が、自然と街中に溶け込んでいること。つい「え?これが世界遺産!?」と疑ってしまう。なぜなら、ガウディは邸宅の設計の依頼を受け、生活に密着した建築物を主に手掛けていたから。その依頼主として有名なのがグエル氏であり、グエル邸とグエル公園が有名な観光スポットとなっている。それでは感想へ。
カサ・バトリョ
カサ(casa)はスペイン語で「家」という意味なので、バトリョ氏がガウディに設計を依頼した邸宅である。
まず中に入ると早速鮮やかなステンドグラス。これは表と裏で色の見え方が異なる設計になっている。
これは道路に面した窓ガラスで、同じように上部にステンドグラスが施されている。
一つ一つの丸に注目してほしい。中心から外側にいくにつれて色が薄くなっていることが確認できる。これは外から内に差し込む光の量を調整する役割を担う。内装一つ一つが生活しやすいように配慮されている。
天井を見上げると渦の中のような形の中に、煌びやかなライトがある。ガウディは自然を師とし、カサ・バトリョはその自然を水という形で表現している。家の中を歩いているはずなのに、まるで海の中を歩いているようなのだ。
こちらも天井。重力に逆らったライトが水面の天井に落ちたような不思議な感覚になる。
水だけではなく、ファサードの柱には植物のような装飾が施されている。
これは邸宅の中央に位置する全ての階を繋ぐ長い階段。全体的には青色だが、下に行くほど水色っぽく、上に行くほど真っ青になっている。
ガウディの精神を読み取れると何となく理由が分かるはず!
そう、上から差し込む太陽光は低い階ほど差し込まないので明るめの水色を、高い階ほど強く差し込むため濃い青を配色して、色の見え方のバランスを取っているのだ。いやぁ面白い。
また階段の手すりは冬でも冷たくならないように暖かさを保つ木が素材として用いられている。
屋上
煙突にはガラスの装飾が施され、カラフルにスケールの大きいモザイクが目立つ。
このようにガウディは形とデザインにも精通し、それら建築構造が生活空間と調和している。
さらに彼の特徴は仕事の仕方にも表れている。例えば、壊れて使えないものを建築に取り入れ、再利用し環境維持の先進的な考えも導入している。それは自然を大切にしていた精神を象徴する考え方だろう。
これはモデルニスモという文化の近代化運動によるもので、他の建築家とは一線を画す。
また彼は中世から脈々と受け継がれてきたゴシック様式は使わず、自然を追求しそれに代わる建築を実現した。グエフ邸では、柱をキノコ状の構造にして強度を保ち、中世の建築様式を脱することに成功している。
サグラダ・ファミリアにもこの建築が用いられていて、後に説明する。
ガウディの概要だけはカサ・バトリョで理解できた。
グエル邸
グエル氏の邸宅。カサ・バトリョのような色鮮やかさは一切なく、落ち着いた内装。
特徴的な所だけ挙げていく。
この階段を見て何か思わないだろうか?
そう、手すりがない。これは壁と階段は同じ大理石が素材として用いられており、手すりを設置してしまうと、その統一感が損なわれてしまうため。こんな細かな所にもガウディの建築の特徴が表れている。
ただの柱に見えるが実はそれぞれの高さが異なり、小さい部屋を大きく見せることに成功しているそう。
何度もオーディオガイドを聴き直したが、そのトリックが何故起こるのかは分からなかった…。マイホーム買う時にはこの柱を参考にしたい笑
こちらはメインホール。メインとは言え狭いが広く見えるのは先程の建築技術のみならず、上に広がる大きな空間がそう見えるよう錯覚させる。見上げれば昼間でも星を見ているかのよう。
ガウディは空間を最大限活用できるよう工夫を凝らした。実はこの部屋は音響に優れており、音楽ホールになると思えば、壁の扉を開けば礼拝堂が現れて宗教的な空間にもなる。この実用性と芸術性を兼ね備えた空間を実現できるのがガウディの凄さの一つだと思う。
ここで鏡にも空間を広く見せる効果があることを思い出し、ヴェルサイユ宮殿の鏡の間は、それを生かした空間を実現しているのでは?とふと思った。
他のバルセロナのガウディ建築に比べるとマイナーだが、違う趣があって僕個人としてはかなりオススメ!
グエル公園
自然豊かなこの公園は無料と有料エリアに分かれており、後者ではガウディ建築を見ることができる。結論から言うと、無料エリアで十分であり、10€払って見るものではなかった。(ちなみに開園前は無料で入れる)
無料エリアはハイキングも出来るほど広い。頂上まで登るとバルセロナを一望できる。僕が行った時は天候が悪くて残念…
サグラダ・ファミリアも見える。海と山(グエル公園)の中間地点に建てたそう。
有料エリア
正直何の感想もないほど面白みがない。今までのガウディ建築に感心させられ、期待が高かったこともあって、旅で一番ガッカリしたかも知れない。
有名なトカゲ
次回はいよいよサグラダ・ファミリアの感想。
今まで宗教的建築ではケルン大聖堂に並ぶものはなかったが、余裕で並ぶ程の感動がそこにはあった。
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