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自由気ままな旅の面白さ(フランス・トゥール)

トゥール編

トゥール・ポワティエ間の戦いを知っているだろうか?世界史を履修した人なら一度は聞いたことがあるはず。
8世紀にフランク王国のカール=マルテルがイスラム勢力を撃退した戦いである。教科書ではこう書かれているがイスラム側は戦略的撤退としていて、解釈は異なる。歴史が勝者の都合の良いように伝えられるのは常。

何はともあれ、この戦いはフランス中部に位置するトゥールとポワティエという街の間で行われた。
特に遺産があるわけでもなんでもないが、トゥール・ポワティエ間を列車で走るためだけにトゥールに2日滞在することにした。

こちらはトゥールとポワティエを繋ぐ道。これを撮って訪れた目的は果たしてしまった…笑

特にやることがなかったので「トゥール 観光」適当に調べていると、なんと列車で15分のアンボワーズという街にクロリュセ城とアンボワーズ城という2つのお城があり、あのレオナルド・ダ・ヴィンチが晩年を過ごした地であるとのこと。

僕はこの発見に興奮し、一気にトゥール観光が楽しみになった。自由な旅だからこその楽しさかも知れない。

アンボワーズは僕が思い描いていたフランスの田舎町と寸分違わなかった。

この先を歩くと突然城が姿を現す。

アンボワーズ城

ここにはダヴィンチの墓がある。面白いのが、案内はタブレットで、持ち主の現在位置を読み取り、移動する度に自動でその場の案内画面になる。

こんな田舎の観光地に最先端の観光テクノロジーが導入されていて驚いた。(なお入場料は1500円程と少し高め)

ヴァロワ朝の王家が住み着いた城からはロアール川や街並みを一望できる。

庭園も広くて自然豊か。ここにダヴィンチの像が置かれている。

観光客も少ないのでまったりとした時間を過ごすことができる。拷問所や戦跡が生々しく残っていたベルギーのヘントのフランドル伯城とは全く異なり、中世の城の二面性を理解することが出来た。

そしてこれがダヴィンチの墓。城内にある礼拝堂に眠っている。

丁度今年2019年はダヴィンチ没後500年ということで、ルーブル美術館で彼の展示会が行われており、大変賑わっている。
一方で礼拝堂は静寂に包まれる神聖な空間。世界の人々が時代を超えて惹かれて止まないダヴィンチと自分だけの空間の贅沢さに酔いしれた。

オススメ度 ★★★★★

クロリュセ城

ここはダヴィンチが、亡くなるまでの3年間を過ごした城。シャルル8世はアンボワーズ城から数百メートル離れたこの城に地下道を作り、ダヴィンチとよく交流していたそう。

まずは寝室

寝室の隣の部屋にはさりげなく、デューラーの絵が飾ってある。さすが…。

ここはアトリエ。どのような道具を使ってダヴィンチが作品を作り上げていたかが分かる。

万学に精通していたダヴィンチは数多くの発明品を考案した。
これは浮き輪。凄さは分かりにくいが当時は画期的だったのだろうか?

これは水の汲み上げ機。現在もアフリカで使われているそう。

他にもここでは紹介し切れないほど多くの発明品が展示されている。中には、IBM社がダヴィンチの考案図をもとに映像を使ってどのような器具なのかを説明してくれる面白いものもあるので、是非訪れて確かめて下さい!

城内見学後は、広大な庭園に導かれる。ただの庭ではない。城内で紹介されていた発明品が至る所に設置されている。どこに設置され、どのように役割をしているのかを実際に見ることが出来るし、何より見つける楽しみがある。子どもの感性を取り戻したかのような錯覚を覚える。

パンフレットから施設内、お土産まで何もかもダヴィンチ一色なので、ダヴィンチ好きの人は訪れたら楽しめるはずだ。
渡航前に何となく読んだ『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』のおかげで彼への親近感が多少あったため、見学の面白みも何倍にも膨れ上がったと思う。このような体験が増えるように、これからもっと勉強していかないとなと痛感させられる。

オススメ度 ★★★★★

最後に…
なんでイタリアのダヴィンチがフランスに?

これは興味深い。当時のフランス王シャルル8世はイタリアのナポリ王国の王位継承権を主張し、イタリア戦争に勝利し、継承に成功した。その際に彼はイタリア・ルネサンスに感銘を受け、イタリアの巨匠ダヴィンチをフランスに招いたそうだ。歴史は面白い🤔

余談だが…
英 チャールズ(Charles) 、仏 シャルル(Charles)、チェコ カレル(Charles)
チャールズは馴染みがあるが、言語によって発音が違い、それぞれの国に合わせて読み方が変わっているのに気がつきました、はい。

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