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サグラダ・ファミリアを侮るべからず(スペイン・バルセロナ)
今まで出来るだけ、マイナーかつ自分が興奮するような観光地を中心に旅をしてきた。(トゥール・ポワティエやルーアン等) しかし、誰もが知っているサグラダ・ファミリアに訪れると、「メジャーなものはメジャーたる所以がある」という至極当然なことを思い知らされた。
サグラダファミリアは聖家族教会と訳されるが、イエス・父ヨセフ・母マリアを聖家族という。美術館ではよく『sagrada familia』と題された絵画があるが、一般的にこの3人が描かれている。
生憎、例がないのでググってみてほしい。
まずあまりにも有名な外観。
明らかに今まで見てきた教会とは何もかもが違う。外装の彫刻で物語を表現する発想は斬新かつ近代的。ファサード右・左・中央ごとに異なる聖書の逸話を表現している。気になる人は調べてほしい。
また植物の装飾も目立つ。ここにはカサ・バトリョでも見られたように、ガウディの自然を尊重する姿勢が表れている。中世の教会には見られなかったこの独創性もサグラダ・ファミリアを魅力づける一つの要素だろう。
扉にも植物の装飾が施されている。
https://www.nhk.or.jp/sagrada-blog/
脱中世の一言に尽きる。僕には何もかもが近代的で目新しいように見えた。一つ一つ見ていこう。
空間
教会に入った瞬間、四方八方から差し込むステンドグラス越しの光で、彩り豊かな空間に包まれる。思わず息をのんでしまう。中世の教会のような厳格な雰囲気は全くない。
また空間は音を響かせるために、オルガンのような構造をしているそう。これはグエル邸の空間作りにも用いられている。
絵画
中世の教会では識字率の低さから、聖書の内容をステンドグラスや絵画などを用いて、視認できるよう表現していた。一方、サグラダ・ファミリアにはそれらはほとんどない。中心に磔のキリスト像が存在しているだけだったと記憶している。
なぜか?を自分なりに考えてみた。
ガウディは統一性と自然の表現を意識したのではないかと思う。
統一性
絵画は殊、宗教的なものを表現することにおいては優れているが、建築との調和がなされているかと言われれば怪しい。
前回の記事に書いた、グエル邸の階段に手すりがない事を例にとると、絵画は手すりであり、調和を乱すものなんだと思う。
同じ理由でステンドグラスにも絵が描かれていない。
自然の表現
前提として教会内の主役は自然なのだ。そうなると、像や絵画は自然に対するノイズになってしまうので排除したのだろう。
建築
中世のゴシック建築は当時革命的だった。リブ・ヴォールトとフライングバットレスによる力の分散で、天に向かってそびえ立つ高さのある教会の建築が可能になった。
ガウディは信念である自然な建築を目指し、ゴシック建築を用いずにサグラダ・ファミリアを設計した。つまり、リブ・ヴォールトもフライングバットレスを用いていない。
ではどうしたか?
側廊に立つ柱を木に見立て、天井付近で枝を表現し、それらで重さを支えている。こうするとこで教会内を大きな森のように表現することに成功している。自然をもって芸術を表現するガウディの精神そのものである。何度も言うように、主役は自然であって、決して像や絵画ではない。
高さ
サグラダ・ファミリア完成時の高さは172.5m。これにも意味がない訳がない。
ガウディは熱心な宗教心を持ち、人間は神が作ったものを超えてはならず、サグラダファミリア完成時の高さは神が作ったとされるモンジュイックの丘(高さ約180m)を超えないよう設計したという。
全てが計算し尽くされている。
巧みな比例関係
ラテン十字を中心に、「側廊 7.5m・身廊 15m・側廊の高さ 30m・身廊の高さ 45m」と全て7.5の倍数が用いられている。この比例関係が教会を美しくさせる一つのトリックでもあるようだ。
裏のファサードに回るとまたまた聖書の逸話を題材にした彫刻。しかし、表のような豊かさとは反対に、キリストの受難をはじめ、過酷溢れるテーマとなっている。
まず一番に目を引くのが十字架上のキリスト像。独特なキリスト像にはある種の恐ろしさを感じる。
犬は忠誠を誓うシンボルとされている。これはその犬の像。
しかし、その隣にはキリストへの忠誠を破るユダの接吻のシーンの彫刻がある。
キリストの鞭打ち
次は数字が書かれた板。これは何を表してるか分かるだろうか?
縦・横・斜めで全て足し算してみてほしい。すると全て33になる。これはキリストの享年である。
どこに行っても細部に至る工夫には終始驚かされる。凄いの一言。建築に対する興味が湧き出てくるような充実したガウディツアーだった。
ついでに…
バルセロナでは先日、カタルーニャ独立に関するデモが行われていた。街中では国旗よりも、カタルーニャ州旗が目立った。ベランダに旗を垂らしている光景はそこら中で見られる。
日本人には馴染みのない問題だが、折角なのでこの際、カタルーニャ問題について学んでおくのも良いと思い、気になったものをリンクに貼っておいた↓
https://toyokeizai.net/articles/-/311176?page=2
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/284306.html
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