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当たり前が当たり前じゃなかった自分を忘れないようにしたい。
■楽器の上達や人生を自分だけの手柄、鎧や凶器にはしたくない
あぐらでベースを仰向けに構える。タブ譜で4弦4フレットって見たらその付近をピックではじく。弦を押さえるって事すら知らない。左手はネックを支えるだけ。当然、音程なんて変わらない。
でも弾けてるつもりになる!
今考えても信じられない事をやっていた、ベース入手当初の自分。
エフェクターはおろかアンプの存在すら知らない。ケーブルなんて物があるのも知らない。そもそもベースってどんな楽器なのかも知らない。実は興味すら無い。
一体どういう認識をしていたのか、凄まじい状況だったと思います。
それを変えてくれたのは実兄ともう一人、父(音楽好きだけど楽器はやらない)の知り合いのプロベースプレイヤー。家業がなければ某ベテランバンドのメンバーになっていた可能性も高い、そんな人でした。
一度だけだったとは言え、その人に教えてもらったのは本当、超が付くほどのラッキーでした。そのたった一回が人生を変えたと言ってもいいかもしれません。
と言っても前述したように、そもそもがデタラメどころの話じゃない、初心者なんて段階ですらない、燦燦たる有様です。
教えてもらったのは、
・弦の押さえ方
・ネックの握り方
・指で弾くって方法もあるよ
そんなぐらいの話でした。
しかし、それすら分からない、超絶低次元な位置に存在していた自分にとっては、最初から最後まで目から鱗の体験!
ネットなんてまだまだ普及してない時代、生の情報のありがたさと言ったらありません!
ネックの握り方と言っても、
「べったり握り込むんじゃなくて親指を軽く当てるのが基本」
「素早く効率的に動かす為には指だけじゃなく手首も使う」
そんな風に大事なポイントを分かりやすく教えてくれたのが素晴らしい。
押弦にしても、
「フレットの際を押さえて丁寧に弾いた方が良い」
これを最初の段階で知れた意味は計り知れません。
また、ピックで弾くって事しか知らなかった自分にとっては、指で弾くなんて方法がある、それがベースらしい弾き方だと教えてくれたのも、新鮮で有益な情報でした。
ロックやメタルに昏倒していた為、最初の2年ぐらいは指弾きはオマケ程度にしか取り組まなかったけれど、存在を教えてくれただけでありがたいですよね。
「チョッパーなんてのもあるよ!」
って見せてくれた謎の弾き方、意味不明な奏法、でも何か凄ぇって感動したのもよく覚えています。
今現在、当時の感覚を思い出せってのは無理ですし、あの頃の自分を見たら腹が立つなんてレベルを超え、ひたすら呆れてしまうかもしれません。
いくら何でも知らなすぎだろ、ベースを何だと思ってるんだと。
でも、それで切って捨てちゃうんじゃあ~、そのまさに当事者だった自分自身も切って捨てる事になっちゃいます。
あの無垢な中坊に軽蔑の眼差しを向けられる事になる、一人の音楽人生、ベース人生が詰んでしまう可能性だってある。
それは何も面白いとは言えない、とてもかっこいい姿勢とは思えない、そういう人間になるべきではない、そう考えてしまいます。
今こうしてベースを弾けているのは、間違いなく先人達のおかげ。
ベースを始めるキッカケになった兄貴にしても、学校の先輩にしても、ベースを教えてくれた父の知り合いにしても、音楽学校でお世話になった先生にしても、これまで出会ってた多くの方々にしても、その人達がいなければ、何も分からないまま過ごし、早々に終わっていたはず。
自分の手柄なんてものは割と本気で無いと思ってるし、教え伝えてくれる人達がいなければ、音楽も楽器も何も分からないままだったでしょう。
正直、書いてて反吐が出るような綺麗事、安っぽいお涙頂戴に感じるところでもありますが、でも本当、絶対的な事実だと思います。
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