WEBスクール後デザイナーになりたい人向けの、現実的なアドバイス
こんにちは。クリエイティブディレクター・デザイン講師のぽりです。
WEBスクール卒業直後に
コネがなく、実績少なく、実力はスタート地点に立った状態で
フリーランスになることはいいのか悪いのか?ということについて真面目に分析・言語化しました。
1年前くらいに、こういう記事を書きました。
まず、未経験からプロのWEBデザイナーになりたい!という方へ。
ある程度まともなスクールで、ある程度まともな講師について、授業を最後まで受けて、自分でもがんばった場合
致命的にデザインが向いてない、ということがなければ
デザイナーにも、フリーランスにも100%なれると思います!
でも、
卒業後すぐにフリーランスになったら、
損することの方が多いと思うし、すぐ天井にぶつかるかもしれません。
いま、コロナ禍ということもあり、
WEBスクール卒業後即フリーランスさんは、既にオンラインに飽和状態と言えるかと思っています。
もちろん、しっかりした実力あるデザイナーと、そうではないデザイナーさんが入り混じっているので、
ちゃんと実績などをアピールできれば、分かってもらえるんじゃない?と思うかもしれません。
ただ、オンラインで自己紹介と実績を見ても、良いクリエイターかどうかって見分けがつかないんですよね…笑
正直何回か失敗しました。
(私が分からないので、知識のない企業側からしたらもっと見分けはつかないと思う)
2021年の今だからこそいくつか思うことがありますが、
結論を言えば、フリーランスになっても正社員くらいしっかり稼ぎたい!と思う方には、就職するのが一番おすすめだなと感じます。
WEBスクール後に、どういう道を辿るのが一番生徒さんにとっていいのか、それぞれの状況別に理由を含め、解説したいと思います。
今、WEB業界の情勢はどうなっている?
あくまで肌感ですが、去年に比べて
・クラウドソーシング価格破壊がより進んだ
・制作技術のより低いデザイナー・エンジニアが増えた
・社会人常識レベルの低いデザイナー・エンジニアが増えた
・企業側がクラウドソーシングを利用した率が増えた
以下のグラフは総務省の2018年の結果なんですが、
2020年はもっと増えたんじゃないかなと思います。
クラウドソーシングでの仕事をした人の率
クラウドソーシング利用者数
「WEBスクール卒業後即フリーランスさん」に当たって安かろう悪かろう、という印象を持つ機会が増えた
と言う声を、今年はよく聞いている気がします。
悲しいことにフリーランスの信用度ってもともと低いのですが
今2021年、空前絶後?の信用のなさが到来してるかもしれません。
スクール卒業後すぐフリーランスできる人もいる
さて、初めに「デザイン一本で長く稼いでいくなら就職がおすすめ」と言いましたが、
卒業後すぐフリーランスになっても全然問題ない人もいると思います。
どんな人か?というと
● 美大や専門学校でデザインの基礎を学んだ&在学中に制作会社インターンとかバイトしてた(即戦力になれる)
● 別のスキルで今フリーランスをしている人(ライティングなど)
● IT分野で社会人経験を積んだ人
(WEBデザイン、コーディング、WEBマーケターなどの勤務経験がある)
● フリーランスになりたい気持ちが強く、自分で成長を止めない人
(コネクションを1から作ったり、走り続けるパワーのあるタイプ)
●副業とかお小遣い稼ぎで良いという人
などなど。
大半の人がフリーランス前に就職どこかでした方がいいと思う理由
就職して2年くらいは経験した方がいいと思う理由。
1.個人事業主=ノーブランド
2.世の中から見て、見知らぬフリーランスへの仕事の信用度が下がった
3.会社が応募要項に必須でのせがちなこと
4.「いきなりフリーランス」がいけない理由
5.就職したらデザインの引き出しを増やせたり、無料で教えて貰えてお得
一つ一つ解説します。
まずフリーになってまず仕事をどこで得るかというと、
・知り合いのツテ
・オンライン(クラウドソーシング)
・オンライン(業務委託で週何回かで働く)
などがメインだと思うのですが、
・知り合いのツテ→あればいいが、ないことも
・オンライン(クラウドソーシング)→コロナ過で同じくらいの実力の人があふれている
・オンライン(業務委託で週何回かで働く)→即戦力求められる
多分、こうなると一度はクラウドソーシングは最初のうちは避けて通れないんじゃないかなと思うんです
※クラウドソーシング使う前提で書いているところもあるので、そうじゃない方は読み飛ばしてください
1.個人事業主=ノーブランド
道端でトラックで大量のりんごを売っているおじさんがいたとします。
段ボールは二つで、おじさん曰く「どちらも無農薬だよ」
片方は「JAS認定マーク付き、青森産りんご」
もう片方は「何もマークのない、日本産のりんご」
どちらも同じ料金でだったら、品質保証されている前者を買いませんか?
フリーランスであればそれは職歴で、何もない自分の品質保証をしてくれます。
スクール卒業で勤務って難しいんじゃないの?と不安な方に一応ここで答えておくと、
実力がなくても、20代前半であればポテンシャル採用は全然あり得るので安心してください。
40代でも採用された人もいますが、基本年が上だとそれだけの実力を求められます(転職なコツは今度書きます)
逆に言えば若い時期は、いい条件で勤務先も見つけやすく、のちにフリーランスとして信用を得やすい要素集めと割り切って、期限を決めて働くのも手かもしれません。
(すぐ辞めるつもりです!教えてもらう気満々です!なんて面接では言っちゃだめですよ)
社会人経験がない人は、自分で言ったもの勝ちで実力がかなりバラバラ
あと、フリーランスは正直実力もピンキリで一緒に仕事しないとわからないリスクが大きいので、
正直出どころの分からない人より分かる人をアサインしたいです。
デザイナーであれば、経験上インハウスではなく制作会社にいた人はかなり鍛えられてるので、制作会社で数年経験がある方は信頼できるな、と個人的に思っています。
ただ、制作会社でグラフィックやっててWeb実は独学なんです〜という場合はWebは不得意だったりするので、信頼できるのはその方が制作会社で経験したジャンルのみなのですが。
もちろん会社勤務経験があるからといっても人柄はそれぞれだし、良い人も沢山いるのは言うまでもなく分かってはいるものの、
ある程度信用ある会社に勤めたことがあるキャリアだけでも、あれば分かりやすく、信頼に繋がりやすいです。
2.世の中から見て、見知らぬフリーランスへの仕事の信用度が下がった
これは完全に肌感&私見なのですが、、
今のクラウドソーシング
今、クラウドソーシングは駆け出しさんや、スクール卒業したての人の練習の場になっています。
なので品質も社会人常識もちょっと足りない人もいます。
WEBスクールでちょっと基礎をかじって、
練習のために、オンラインで受注し続ける人たちがここ数年で激増。
そして、コロナでもっと増えて、
数年前より今一番くらいカオスな印象。
企業も、安かろう悪かろうフリーランスで痛い目を見る経験が増えた
実績を偽る方など、一目で見て勘のいい人なら分かるような、モラルに反した営業をする人が増えたり、
お金を受けて仕事をしているにも関わらず、堂々と「わからないので、できません」等と言ってしまったり、
他にも、納期なのに連絡が突然なくなる人もいたりします。
これは実際にあったことなのですが、ある案件で
クライアント側の手配したコーダーの実力が足らず、同じく外注ディレクターの立場の私がなぜかそのコーダーの品質管理・教育を行わないといけなかったりする機会がありました。
正直、このような機会はここ数年で増えた感じがしていて、
企業側も痛い目を徐々に見始めてきているのでは?と思います(とはいえ、それでも金額を節約したさに失敗を何度も繰り返すクライアントさんももちろんいます)
クラウドソーシング上の「安かろう悪かろうフリーランス」に価格で勝つことはできない
外注デザイン金額をケチれば、そのような実力に難のあるクリエイターにあたる機会が増えます。
でも、リスクを背負ってもお金を節約したいという人は多いです。
それにしても、なぜそのクリエイター達はそんな安い価格でできるのでしょうか?
彼らは学生だったり、スクールに通いながら練習で制作を行っていたり、主婦で隙間時間にだけ副業として行いたいという人たちだったりします。
正社員くらいの月収を稼ぐつもりはそもそもなく、まともな金額の半分以下の金額を提示することができるので、もしあなたがデザイン制作一本で生活していこう!という人は、永遠に金額面では勝つことができません。
もしプロで長く実績があれば、お客さんへの営業時に実績のデザインを見せ「おっ」と思わせることができれば、価格が高くても差別化を図れるかもしれません。
ただ、WEBスクール卒業時だと、彼らの2倍3倍もクオリティの高いものを見せられる人はいないんじゃないかと思います。
就職であれば、親しみやすさやキャリアを加味してジャッジされるとしても、
フリーランスとして実績の少ない中、彼らとオンラインで戦うのは、やっぱりフェアにはいかないかもしれません。
3.会社が業務委託の応募要項に必須としてのせがちなこと
フリーランスと関わる中でおきがちな問題
あともう一つ就職した方がいいなと思う理由があります。
もしもここに、めちゃくちゃ頑張り屋で、会社経験はないけれど、独学でデザインや実力も問題ない方がいたとします。
例えばその方が、業務委託で数カ月単位でその会社に関わって業務を行うことになった場合。
(数カ月プロジェクト単位の業務委託は実力がある方なら、時給も正社員レベルに高く、マッチングサービスも沢山あり見つけやすいです)
ぱっと見パーフェクトなそんな方でも、たまに、うーんと思う機会もあります。
たとえば、データをアップしておいて、と伝えたとき、
デザイナーとして社会人経験がある人なら一般的に分かるであろうことも、
「え、上書きして前のデータ消しちゃったの!?」
「名前の付け方がわかりづらい…」
みたいに思うことは、ディレクターの立場として多いですし、実際私のアサインしたメンバーに対しクレームを頂いたこともありました。
(すべて独学で、会社でデザイナーとして働いた経験がない人でした)
プロジェクトは、大きいほどチームで行うし、分業化されてデータのやりとりや引き渡しも頻繁に行います。
デザインやIT業界って色んな特殊なルールが会社単位ではなく、共通認識の決まりごととしてあるんですよね。(データの名前の付け方とか、レイヤーの分け方など)
慣習というと堅苦しいのですが、それがもしわからないと、他メンバーが大変な思いをすることになったりもしますし、多分怒られます。
でもそれは、
「社会人経験があること」で大体解決したりもするんです。
逆に言えば、私は5社ほどの会社でデザイン制作を行ってきましたが、会社によってルールは少し違うものの、基本的な部分はどこも同じでした。
なので、おそらく1社経験したら、少しやっただけですぐできるようになります。
そのため、「社会人経験があること」「職務経歴書の提出」は、私が今後導入したい選考条件の一つです。
正社員でもないのに?と思われそうですが…。
実際に生徒さんから聞いた悩み
実際、クリエイティブ系会社未経験で、フリーランスになった方のデメリットとして
デザイン制作にかかわる会社での常識がわからず不安で教えてほしい、という方に何度か会いました。
独学でどれだけ頑張っても、本当のプロが一般的に行っているソフトの使い方やデータの作成の仕方がわからず、自信が持てないようです。
(ショートカットキーを使うことをそもそも知らなかったり)
4.「いきなりフリーランス」がいけない理由
また、社会人経験がない場合、ちょっと
買いたたかれやすいです。
世の会社も、悪気なくWEB制作やデザイン制作が、びっくりするくらい安い価格と思いこんでいるケースも多々あります
(クラウドソーシングの価格を基本と思っていたり)
究極、受託するクリエイターがそれでもよければいいのですが。。
5.就職したら得なことと、その理由
育ててもらえる環境
会社員は教育を受ける機会が多いです。
こっちの意識はどうであれ、会社からすると
会社員・・・実力が足りない人を教育してでも、活躍して会社に貢献してもらいたい
外部フリーランス・・・使いたい時だけ都合よく使いたい
という感覚はあると思います。
後者はこちらからしても都合よく働けるので悪いことではないんですけどね。
そのため、フリーランスは即戦力を求められますが、現実的にスクール卒業生の時点では実力不足でその要求に応えられないことは多いです。
色んな人の正解を知れる
デザインって、目に見てわかる正解というがないので、
色んな人の十人十色の正解を見れば見るほど引き出しが増えるのですが
フリーランスになってしまうと、そういう機会は基本なくなり、自分の中のアウトプットだけに頼ることになります。(あとは独学するしかない)
なので、上手な先輩の見本を見れる機会があるってほんと貴重です。
無料どころかお金もらって経験もできるならめちゃくちゃお得だと思います。
さらっと書きましたが、フリーランスになりたいよ!っていうモチベーションが元にあるのは全く悪いことじゃないです。
むしろその気持ちを持ったまま、一度就職してみると
「自分にこういうところが足りないんだ…!」って気づけるとてもいい機会になるので、私はおすすめです!
ー
で、本当にデザインで就職したいな、という人は今のところ就職率すごくいいのでうち(デザイントースト)もおすすめでもあります。
先日も卒業生と話していて、「面接官に、競合分析・仮説・提案などデザイン以外の部分をすごく評価してもらえた」って言ってもらえました。よかった。
面接官は、制作物だけでなくプロセスが見たいんですよね。Webスクールはレイアウトとコーディングしかやらないからなぁ…)
他にもWEBデザイナーになるための、
WEBデザインスクール選びについての記事も書いています↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?