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あてもなく歩く楽しさをもう一度

読書に飽きてしまい、夕方ころふらふら散歩に行った。初夏らしい、風がよく通る夕方。開けっ放しの窓をしめ、イヤホンをするか迷って今回はしないことにした。以前は散歩のときにずっと音楽を聞いていたけれど、最近はイヤホンはせず、そのままの音を聞くようにしている。鳥の声、風の音、自転車が走る道路、人の往来。耳をすまさないともったいないなと最近感じるようになった。

そのまま行こうかと思ったのをすこしとどまって、メルカリで売れたものを近くのPUDOまで持っていくことにする。

断捨離を1週間ほど前にやり、メルカリに10品ほど出品していた。ものを減らして2年ほどたつけれど、ここちよく過ごせる定数みたいなものが定まってきたからか、数ヶ月に1回くらい断捨離ブームがやってくる。いまここちよく過ごせているか?とパトロール。

服をバーっとだし、日用品や旅グッズも見直す。たいてい10個ほどこれいるか?というやつがでてくる。並べてみて、もう一度検討してやっぱりいまは使ってあげれないなと思ったらメルカリにだしていく。前回断捨離をしたのは半年ほど前だろうか。時間ははやい。

正直お金になるか?といえばNOなのだけど、捨てるよりかよいかと思いなるべく出品している。誰かの手にわたって役に立つならそれが一番だ。

手放して、だれかにめぐっていく。

役に立てよーと思いながらPUDOボックスに梱包したゲームソフトをいれ、扉を閉じる。「発送しましたよ」とメッセージを送り、スマホの画面を消す。顔をあげるとエプロンをしたおじさんと目が合った。

スーパーの前にあるPUDOなのだけど、店長さんらしきひとに顔を覚えられている気がする。スーパー自体にもよくいくし、やたらPUDOにくるやつだと思われてそう。お世話になってます、いつも。いっときは引っ越さない予定なのでこれからもよろしくお願いします、と思いながら目をそっとそらす。じっと見られるのも、見るのも苦手だ。

心のなかでごまを擦りつつさっと店から離れる。

ふと見上げると薄い紫色に染まった空に巨大な鉄塔がたたずんでいた。
長崎にいたころはなかなか見る機会がなく、鉄塔を見るとわくわくする。旅先でも撮りがちで、帰宅後フォルダを見てみるとだいたい1、2枚は撮っている鉄塔。廃墟がすきだからか、巨大な無機物が自然のなかにたたずんでいると時間が止まっているように感じて思わず切り取りたくなる。

17時を過ぎても明るい季節、電線のしたをたくさんのひとが歩いていく。

今日も世界はまわっている。

こういう景色を見たいのだよなと唐突に思った。ここでも、海外でも、だれかの日常の一部を見たいと思って私は散歩や旅にでている節がある。どこにいくのか、どこから帰ってきたのか。あてもなく考えるのがすきだった。

そういうのをここ1ヶ月はとんとやっていないから、散歩の習慣を戻さないとなと少し反省する。ひきこもり耐性が高すぎて自分がすきなものすら忘れそうだ。

読書もいいのだけど、もっと外にでよう。

あてもなく歩く楽しさを覚えておきたい。

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