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我を忘れる手仕事バンザイ!な日々は、今日も明日も明後日までも【火曜日連載:2022年6月7日版】

 初めましての方、ようこそいらっしゃいました。
 二度目以上お運びの方、本日もありがとうございます。
 こんにちは、あらたまです。

『あらたま流きもの雑記』とは――
 火曜日連載で、きもの文化検定2級ホルダーのあらたまが普段着きもの生活についてアーデモナイコーデモナイと書き散らかします。
 主に普段きもの一式の紹介と解説、少々のお出かけレポートをお届けします。また、私がきものに思う事、きもの生活tipsやお寄せいただいた質問への回答が、それぞれ小話として付いています。
 ・いわゆる『映え』なきものの御提案は無いと思います。
 ・きものを着た可愛いポージングの女性は出てきません。
 ・きもので行くべき映えスポット!の御提案もありません。
 きものを普段着にしているといっても、洋服を着る日だってありますし、和の習い事経験は皆無です。
 大雑把な性格で、かなり雑な暮らしぶりのオバチャンのきもの生活の一端をお見せすることで、きもの生活のハードルが多少低くなり、きものを始めたい方の勇気或いは既にきもの生活を楽しんでいる方の更なる楽しみに繋がることを願っております。

 梅雨入りして、家の中で過ごす時間が多くなる季節です。おこもり生活も慣れたもので、さほど困ったことにはなっていませんが、せっかく外に出る機会が増えてきたところですから体をめいっぱい動かして活動したい欲は無いとはいえません。
 そんなわけで、読み書きの合間に作業環境の模様替えをやっています。
 いつの間にか溜まるだけにとどまらずあちこちにとって散らかっている資料を整理・処分、作業手順が変わって使い勝手が悪くなってきた道具の配置換え、あると便利な収納の仕組み作り等々、イベントに掛かりきりになっていた時に気になってモノゴトを少しずつ改めていって、よりシンプルでゆとりのある環境を目指しているところです。
 イベント準備の一環で始めたパッチワークも、今の環境整備作戦に一役買ってくれています。
 何度が挫折を繰り返してきた手縫い修行ですが、ここにきてようやく身になりつつあるといいますか……せっかくなので、手縫いで一丁、半衿か簡単な兵児帯(ファブリック帯)を作ってみようかしら?覚えたパッチワークの技法を使ってワンポイント添える、なんて遊びも取り入れてみたいものです。

 それでは、本日も始めて参りましょう。
 いつもの拙著プチ宣伝のあとに、目次が続きますよ(^▽^)/

 虎徹書林公式グッズ( *´艸`)
 イラストロゴシリーズとにゃんこ先生シリーズ、いずれもトートバッグとサコッシュでデザインしました。

原稿に朱入れしていた日の一式

 文学フリマ東京が迫ってきて、焦りが色濃くなった頃。助かるわーと思ったのは、PDFデータのやり取りでゲラ刷を待つ時間が無いってことでした。
 最近は個人出版でもちゃんと段取りを踏ませてもらえます。原稿制作から推敲、校正、組版に装丁と全部一人でやらないとならんというところを抜きにしても、自分自身をきちんと納得させることができる仕組みです。スバラシイ!
 それも技術躍進によって、それぞれの工程がほぼシームレスに進んでいく感じがします。こんなにサクサク進んでいいの!?と慣れないうちはそのスピード感に戸惑っていました。
 だからこそ、人力100%でやらなきゃならない作業は己の力量に泣けてきたりうんざりすることもしばしばです。校正は特に、神経をすり減らしながら誤字脱字、変な改行や空白を拾い上げていきますから、下手にギアを上げるとミスに繋がったりもします。

 落ち着け―落ち着け―ワタシ……きものに袖を通して、背筋を伸ばして、じっくりゲラ刷と向き合っていました。

 ・デニムきもの
 ・ミンサー織半幅
 ・suicaペンギン手ぬぐい(半衿)

ペーパーバック版『気疎譚』の校正は、リラックス感重視でした

 帯結びは貝の口でした。
 家にある半幅帯を色々ためしてみたのですが、この緑系のミンサー織は貝の口との相性が大変にいいみたいです。長さといい、締め良さといい、形がきちっとしてくれて安定感があります。

 貝の口は帯によっては解けやすい結び方なので、帯締めで補強するのがオススメ。
 人によっては「そんな野暮な……」と仰いますが、空中分解するよりはマシだと私は思います。せっかくですから、渋い帯留めして御洒落しようよ!てなもんです。
 帯留めの代わりに細い革ベルトするのもいいんじゃないでしょうか?ソリッドなデザインの缶バッチを添えたりして、かっこかわいいのも好きだな。


涼しさと温もりと~ガラスの帯留め~

紐を通すところもガラス。一体形成ってのが凄い技術だなと思います。

 今日は私物の帯留めに纏わるお話シリーズです。
 クラフトマンシップの妙味が得も言われぬ、耐熱ガラスに銀箔をあしらった帯留めはかしこまり過ぎずくだけ過ぎず、普段着にちょうどいい塩梅。コロンとした形は手に馴染み、さらりとした質感に思わず頬がゆるみます。

 お迎えしたのは春先だったかな。
 工場で職人さんが手作りなさるので、受注生産なんですけどって見本を見せていただいたのです。その時は確か、夏向けの帯留めですって触れ込みで。
 「初夏を待たず、五月の連休からお使いになると、涼しさを先取りできますよ」
 「最近は夏が早いですものね」
 そんな会話をしたような記憶があります。
 耐熱ガラスって割と薄手で透明度が高く、なるほど、見るからに涼し気な佇まいの帯留めが6種類ほど並んでいました。氷から削り出したようなお花は薔薇や朝顔だったかな、いかにも初夏に向けての意匠でした。
 それらのデザインは確かに素敵なんですけども、いま一つ私の心は動きませんでした。物語ジャンキーですからね、これからの季節に大活躍するわ見て見て!と主張するデザインよりも、何やら物言いたげにそっぽを向いてるようなデザインが好みです。
 眼福でした……と立ち去ろうとしたとき、ふと眼に飛び込んだのが、一つだけフロスト加工がされた丸い帯留めでした。透明度を敢えて抑え、瑞々しいというよりも朝露にしっとりと覆われた、というような風情です。
 「表面加工と箔押しに手間がかかって、デザインが一種類しかないのですって」
 職人さん泣かせなのか、職人さんの腕の見せ所なのか。
 そういう説明を聞くと、なんだか途端に愛おしく見えてきて、手の上に載せるとひんやりしたガラスの感触の奥に職人さんの手の温かさを感じた気がしました。

 ガラスの上に銀箔が散らされたデザインは、苔玉をイメージしているとの説明だったのだけど、見ようによってはシャンパングラスを上から覗いたみたいにも見えます。
 銀箔を泡に見立てたからなのですけど、そういう風に見えだすと不思議なもので、シャンパンの他にも夏休みに嬉しいラムネ、金魚鉢のエアー等次から次へとイメージが湧きます。
 ところがこの帯留めを様々な素材や色の帯の上に置いてみると、その見立てに「待った」がかかります。
 泡沫はパチンと弾けるどころか、ギュッと縮んで結晶になります。例えばそれは……家々の灯りを反射する雪です。
 帯の上に突如現れたのは、丸窓から覗き見た冬の街でした。
 おもしろがって次々に帯を変えていくと、ろうそくの明かりになったりイルミネーションのLEDになったり。そうなると、この帯留めがクリスマスのオーナメントそのものに思えてきたりして、ね。

 幾何学的で、余分な意匠を極力削ぎ落したゆえの、遊び心を掻き立てるデザイン……では無いかもしれません。本来は。
 ですが、なのです。
 職人さんの意図は、全く別の方向を指し示していたとしても、です。
 こんなにも私を独自の物語に誘うこの帯留めを、掌の上で眺めれば眺めるほど、私はちゃんと責任もってお迎えせにゃならんと奇妙な使命感に駆られてしまったのです。
 私が何としてもお迎えせねばと思ったのは、柔らかな銀の閃きを煙ったガラスの中に静かに飼う、この帯留めだったのです。

 気を付けないと割れたり欠けたりするのがガラス。
 その儚さもまた、新たな物語を予感させますけども、それは最終回ということで。まだまだ、小さくともハッピーなお話を聞かせてもらわないとね……。


いかがでしたか

 帯留めの話、たまーに書いてみますとアレコレ思い出したり新しい帯✕帯留め✕帯締めの組み合わせを閃いたり、時間を忘れて楽しんでいたりします。
 とはいえ、そんなに大量の帯留めコレクションがあるわけじゃありません。お話にも限りがあります。
 帯留め小話だけを集めたエッセイ本が出来たら楽しいかしら?とも考えてみましたが、それよりも「帯留めをテーマにちょっと不思議・ちょっと怖い作り話を拵える」ほうが、私には滅法楽しいことになりそうだなと気付きました。
 アイデアだけはぽんぽんと浮かぶので、メモだけは欠かさずしておきますね(ΦωΦ)フフフ…


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 それでは。
 最後までお読みいただいて、感謝感激アメアラレ♪
 次回もお楽しみに、バイバイ~(ΦωΦ)ノシシ


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