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2024年7月の記事一覧
【創作小説】猫に飼われたヒト 第47回 アッシャー事件〜誘拐〜
とある冬の寒い明け方。レックス宅にて。
時刻は早朝、5:30。
レオが目を覚ます。
レックスは自室で寝ていた。
レオは完全に目が覚めてしまい、のそのそと本を読み始めたが、全部読み終わっていたためすぐに退屈になった。
「……ひま」
レオはふと思いつき、こっそりと家を抜け出すことにした。
大学に行く時、いつもレックスの車で走る道を、てくてくと1人で歩いていく。
レオはこの道しか知らないのだ
【創作小説】猫に飼われたヒト 第46回 天才発明家アッシャー
夜の人間研究所。
レックスが自前で買った水やゼリーの入った袋を下げ、水の入った桶を持ってNo.18の隔離室に入る。
辛そうな18を横目に、桶の水で布巾を濡らし、絞ってそれを18のおでこに乗せた。
「すまない…もう少し耐えてくれ。必ず…この環境を変えるから」
そこでレックスははた、と気づいた。
「私は…少し前まではここに来ることすら怖がっていたのに、今ではこんな…」
苦しそうに眠るNo.1
【創作小説】猫に飼われたヒト 第45回 アニマーリア警察署の敏腕警部
アニマーリア中央区のアニマーリア警察署にて。
若い警官2人が話していた。
「なあ、この殺人件数ボード、要るか?」
「いや。要らないよな。事故はあるが、殺人に関してはだってこの警察ができた当時から今まで一度もこの記録が一になったことないんだぜ?」
「ああ……そもそも俺ら猫は他人を傷つけたり、殺したりしねえ生き物なんだよ。人間とは違うんだ」
そこへやってくる、片目が義眼の真っ白な猫。
「そう
【創作小説】猫に飼われたヒト 第44回 所長と主任の話し合い
人間総合研究所の応接室。
キャロルがお茶を運んでくる。
「キャロル、ありがとう」
「いえ、先生!」
キャロルはにこっと笑って軽く会釈をし、部屋を後にした。その後ろ姿を見送って、フルーメンが口を開く。
「…それで、話とは」
「ああ。研究所の環境について、ここに配属されてから疑問を抱いていてな。というのも、人間の飼育環境があまりにも劣悪だと思うんだ。なぜこんなにも環境が悪いのに、対策が練られな