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ポリアモリーを本当に実践しているのは誰? (BY ZACHARY ZANE NOVEMBER 12, 2018)

 何年もの間、ポリアモリーは白人リベラリストのライフスタイルであるとして一掃されてきましたが、新しい研究は、倫理的な非一夫一婦制の実践者[エシカル・ノン-モノガミスト]は 従来の説よりもはるかに多様であることを示唆しています。

ボーイフレンドが、私に対して彼と彼の妻と一緒に引っ越すように勧めてきたとき、私は彼を直に笑い飛ばしました。既婚男性とデートをすることと、窮屈なアパートで[彼と彼の妻と]一緒に暮らすことは別ものです。それはスリーズカンパニー[※男性一人と女性二人が同居するという設定のアメリカのヒットドラマ] のいびつなリメイクのように感じました。それでも私は彼を愛していたので、その後、ポリアモリーに挑戦することにしました。彼は私を愛していました…そして奥さんのことも。

本当に、全てのポリアモラスな人は、複数の人を愛し、同時に複数の人と真剣な関係を持つという考えにオープンです。 「poly」はギリシャ語で多くを意味し、「-amory」はラテン語で愛を意味します。これは、パートナーが他の人とセックスすることは問題ないが、他の人と恋に落ちてほしくはないというオープンリレーションシップとは異なります。それでも、ポリアモリーは「0か100か」である必要はありません。性別やセクシュアリティのように、ポリアモリーもさまざまなスペクトルに存在する可能性があるという考えが高まっています。そして、パートナー(たち)が他の人と性的および感情的に関わるようになれば、彼らを平等にサポートする必要はなくなります。

米国に住む人々の4〜5%はポリアモリー、または他の形態のオープンな関係に参加していると推定され、20%の人々は、人生のある時点で少なくとも何らかの倫理的な非一夫一婦制[エシカル・ノン・モノガミー]を試みました。それでも、この人々が正確には誰であり、伝統的な関係構造を放棄するように駆り立てている原因が何であるかは不明なままです。

Mediumで書かれた記事のタイトルに要約されているように、「ポリアモリーは金持ちで見た目が美しい人々のためのものだ」という理論を証明する確固たる証拠はありません。

しかし今では、Western Ontario大学のRhonda Balzarini博士と彼女の同僚の研究のおかげで、誰がポリアモラスである可能性が高いかが分かりました。昨年6月にJournal of Sex Researchに掲載された彼女の論文では、Balzarini が参加者にオンライン調査を依頼することにより、2,428人のポリアモリーを実践している個人と539人のモノガミーを実践している個人の人口統計学的背景を比較しました。ポリアモラスな人々は自分をバイセクシュアル/パンセクシュアルと見做す傾向があり、離婚をする可能性が高く、モノガミーのカップルよりも年収が少ないことを発見しました。

Balzarini博士は、年齢、人種、教育、性別など、通常のすべての人口統計を調べましたが、彼女の研究からまったく予想外のことが1つ浮かび上がりました。ポリアモラスな人々は、性同一性ラベルだけでなく、ありとあらゆるラベルの使用を避け、しばしば「その他」のカテゴリーを選択し、独自のオプションで書き込むのです。

たとえば、政党に関しては、ポリアモラスな人々はしばしば「その他」を選び、アナキスト、進歩主義者、民主社会主義者と書いたり、無回答の場合もありました。

「この発見は、トランスジェンダーの人々が伝統的な性的指向のラベルを拒否する傾向があるのと同様に、伝統的なグループラベルを拒否または逸脱するポリアモラスな人々の好みを反映している可能性があると推測します」とBalzarini博士は語ります。

彼女は、データから他の3つの主要な結論を引き出すこともできました。

第一に、バイセクシュアルとパンセクシャルの人はポリアモリーの関係にあると報告する傾向がはるかに高かったのに対し、ストレートの人はモノガミーの関係にあると報告する傾向が高かったことです。バイセクシュアルの50%の人はポリアモラスであるのに対し、ストレートでポリアモラスな人はわずか36%でした。モノガミーの関係に関しては、ストレートの回答者の74%がモノガマスであると報告しましたが、バイ/パンの回答者はわずか17%でした。 (残りのパーセンテージは、ゲイ/レズビアンまたはその他として識別されます。)

第二に、ポリアモラスな人々は、モノガマスな人々よりも離婚経験があると回答する傾向が大幅に高かったのです。 研究で直接的な説明はできませんが、Balzarini博士は、「2人目のパートナーとの関係をより包括的にするために離婚した、ポリアモリーを追求する過程でモノパートナーと別れた、または単に、より多くの関係はより多くの離脱者をもたらすからでしょう。」 と言います。

この結果は「ポリアモリーの関係は一般的に脆弱で安定しない」ことを示しているのではなく、関係性の経験が増えるとその後の分裂も増えるという事実を反映していることを明らかにしました。

第三に、彼女は自分の論文に書いているように、ポリアモリーの関係にある人々についての一般的な仮定を検証しようとしました。ポリアモラスな人々の多くがバイセクシュアルであるという仮定は真でしたが、教育、政治的所属、および民族性に関しては、グループ間でほとんど違いはありませんでした。

学士号以上を取得し、民主党支持であると回答したのはポリアモリーの関係にある人々のわずかな数だけでした。民族性に関しては、グループ間に大きな違いはありませんでしたが、ポリアモラスである回答者は「多民族」と「ネイティブ」として自身を見做す傾向が大幅に高かった点が異なります。

ポリアモリーの関係にある人々は、実際にはモノガミーの関係にある人々よりも低所得層にいると申告し、すべてのポリアモラスな人々は暇で、郊外に住んでいる金持ちであるという仮説に反しています。ポリアモリーを実践している回答者は、年収2万ドル未満である傾向が大幅に高く、一夫一婦制を実践している回答者は、年収10万ドルである傾向が高かったのです。

Balzarini博士は関係性のスタイルをポリアモリーまたはモノガミーに二分しましたが、ますます多くの研究が、ポリアモリーをさまざまな程度の領域上にあると見做しています。

2016年、YouGov は調査を実施し、「完全なモノガミー」の関係を望んでいるミレニアル世代 (ここでは30歳未満と定義) は半数のみであることを発見しました。9月、ロンドンの King’s College の精神心理学および神経科学研究所の博士課程の候補者である Anne-Laure Le Cunff 博士は、ポリアモラス、モノガマス、またはアンビアモラス(モノガミーまたはポリアモリーの関係どちらをも楽しむ人々)と自己認識した509人を調査したワーキングペーパーを投稿しました。

回答者は、自分自身をポリ、モノ、またはアンビと見做した後、7段階(0から6)で4つの質問に回答し、自分自身およびパートナーとの追加の性的、またはロマンチック[感情的]な関係を持つことに関する考えを評価しました。このスケールの0は「完全にモノガマス」であることを意味し、6は「完全にポリアモラス」であることを意味します。

当然のことながら、選んだ関係性のラベルに関係なく、回答者は、自分のパートナーの他にロマンチックで性的なパートナーがいることに満足していると述べました。また、すべてのグループは、ロマンチック[感情的]に開放的であるよりも、性的に開放的であるという考えに対してよりオープンでした。

実際、モノガミーのグループは、個人の性的開放性の尺度で驚くほど高いスコアを獲得し、平均スコアは1.96でした。 アンビアモラスな人々はこのスケールで4.63を獲得し、ポリアモラスな人々は5.24を獲得しました。

この研究はまた、エシカル・ノン-モノガミーの関係をどれほど快適に感じるかという点で、男性と女性が異なることを明らかにしました。

「最も驚くべき発見は、男性よりも女性がノン-モノガミーの考えに全体的に満足しているということでした。」と、Le Cunff 博士は言いました。 「文化的な観点から、私はこの結果を期待していませんでした。」

Le Cunff 博士は次のように仮説を立てました。「これまで、男性が不貞行為をすることは文化的に受け入れられてきたため、合意に基づくノン-モノガミーは、他の関係を追求する倫理的な方法として女性にアピールしています。たぶん、女性もモノガミーの関係に1年から4年で落胆しないようにするために、目新しさを望んでいるのでしょう。」

Le Cunff 博士はエシカル・ノン-モノガミーの普及に伴い、その関係をよりよく理解し、非難の声から助けるために、より多くの研究を行うことを望んでいます。現在、ポリアモリストを差別から保護するための法的保護はほとんどありません。 2013年、オーストラリアの女性は、ポリアモリストであるという理由でカトリック組織での仕事を解雇されました。そして、ほとんどの国では、パートナーとの別居やパートナーが死亡した場合に彼らを保護する法律がありません。子供の監護権の問題は言うまでもありません。

「スペクトル上に存在するポリ(と)モノガミーは、人々がよりバランスの取れた関係を築き始め、より健康的な会話ができるようになったことを意味しています。」とLe Cunff 博士は言います。 「歴史的に、ポリアモリーとモノガミーを共存できない正反対の二項目と見なすことで、これらの議論を必要以上に困難にしてきたのです。」

出典 Who Really Practices Polyamory?


訳者追記

[※アンビアモラスの解説はこちらを参照しました。まだ日本国内ではほぼ使われていない単語なので、興味のある方はぜひ英文での解説をいくつか読み込んでみてください。]

[※文章中の太字は、原文の表現に準じています。翻訳者の意図が反映されたものではありません。]


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