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ソムニウム(61)梟のうた


江戸時代の髪型には
「魂は鳥の姿をしている
死んだらぱっと頭から離れ
空へ飛んで戻るんだ、
浮世ではちょっとの間だけ
羽休めしてるだけなんだよ」
っていう意味があるんだって
ほんとか?と訊くと
うそ、と笑う
雨がまっすぐ降っている
女の歌う声が聞こえる
クリーム色の梟が
街路樹の先にとまっている
目が合うと人の顔になる
彼女に会ったことがある
小首をかしげ
ぱっと飛び立つ
山へ向かわず 森へ向かわず
乳のようにうねる
雲の中へ
歌声が短く響いて消える
戻っていったね
雨が上がる


(終わり)

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