2023年8月【医療・健康】 注目の動き・ニュース
政策共創プラットフォーム『PoliPoli』（https://polipoli-web.com/）を運営する事務局が、2023年8月の「医療・健康」に関する注目ニュースをお届けします！
（1）2024年度予算、厚生労働省の概算要求が公開
毎年8月は、各省庁が翌年度の予算編成に向けて、注力する事業とその見積りの要求書を財務省に提出を行う月で、各省庁の方針が数字となって現れる重要な月です。
厚生労働省から「令和６年度厚生労働省予算概算要求」などが発表されました。一般会計の要求額は、高齢化等に伴い社会保障料が増加し、今年度予算に比べると約5,900億円増の33兆7300億円です。近年の予算と比べると、コロナ対策の予算から人口減少に対応した長期的な政策に切り替えていく方針となりました。
この概算要求に対して、加藤厚生労働大臣は記者会見で、持続可能な地域医療・介護の基盤構築や地域共生社会の実現を図っていく必要があること、そして、イノベーションや「新しい資本本主義」による成長の加速化の推進を図ることを念頭にあげ、国民一人ひとりがその恩恵を実感するための改革を進める施策に対して、重点的に要求することを述べました。
また、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービスなどの3つの報酬が同時改定となることを踏まえ、必要な対応を行っていくと応えました。
（参考）
・厚生労働省「令和６年度厚生労働省所管予算概算要求関係」
・厚生労働省「加藤大臣会見概要（2023年8月25日）」
（2）大臣官房「医療DX推進室」が設置後、厚生労働省で初の会議が実施
8月30日、「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームの会議が開催されました。2023年6月に内閣官房に「医療DX推進室」が設置され、「医療DX推進工程」が策定されてから初めての会議です。工程スケジュールを元に、厚生労働省が管轄する施策の進め方について検討が行われました。
医療DXの中心になる施策は、「全国医療情報プラットフォーム」ですが、会議ではこの構築のために電子カルテ・医療情報基盤においてタスクフォースからの報告と今後の進め方について確認が行われました。医療機関や自治体との情報連携の基盤整備は今年度中に行われ、整備が行われ次第希望する自治体から選考実施が行われる予定です。
医療DXを進めることで、救急・医療・介護現場の情報共有が迅速かつ的確に行われ効率的な処置を行うことができると同時に、時間の短縮化や業務の効率化によるコスト負担の軽減が見込まれます。また、データベースを作ることによる研究等の二次利用にも活かせるため、人材不足が著しい医療・健康分野、今後の医療ニーズの増加も踏まえ、厚生労働省として、より力を入れていくことが述べられました。
（3）医薬品の安定供給のための構造改革の議論が進む
日本では、2021年の後発医薬品会社の相次ぐ製造管理・品質管理違反が発生し、業務停止や業務改善が起こったことによる医薬品の供給不足が今なお続いており、これは日本の構造的な問題といえます。
医薬品の安定供給に関する施策は2021年から有識者会議等で議論され、2023年度の薬価改定や医療機関等への購入調整、企業評価等の取り組みを行っています。
厚生労働省では8月に「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」や「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」などを開催し、安定供給のための企業情報の可視化や業界の特徴でもある少量多品目構造の解消をどのように解決していくかが考えられました。
（参考）
・厚生労働省「第2回創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」
・厚生労働省「第2回後発医薬品の安定供給等の実現に向けた 産業構造のあり方に関する検討会 資料」
・公益社団法人 日本医師会「医薬品の安定供給に係る現状認識と課題」
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