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13、世界的な出生率低下にみられる差異

今まで述べてきた出生数、率の低下はご存知の通り日本だけにみられる現象ではない。2019年次でアメリカの出生率は1.77、イギリスは1.79、フランスは1.92、ドイツは1.57となっている。すべての国で減少傾向であり特にアメリカ、ヨーロッパでは白人の出生率低下が顕著である。少子化という現象に世界の歴史上最も早くに悩まされていたのは意外にもフランスであった。私たち日本人から見るとフランス人は恋愛や結婚に積極的で子供が比較的誕生しやすい国民性というイメージが支配的だが、フランスは1870年から71年の普仏戦争の敗因を人口全体に占める青年人口が少ないことや伝統的に出生率が低いことに求めていたという。少子化を克服することが20世紀フランスの国家的スローガンであったが二次大戦も精強なドイツ軍に敗北を喫した。このような二度の敗北はフランスが精力的に少子化対策に取り組む原動力になったのである。その甲斐あってか2014年フランスの出生率は置き換え水準の2.0に回復し一方ドイツは1.3と立場が逆転した。

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今年の3月、4月にコロナ禍真っ只中で暇なテルが書いた人口問題に関する論文じみた文章です。人口や少子化という概念を歴史的に分析し、主に人口と…

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