抜き打ち検査を受けた先輩警察官(懲戒処分編)
事件の端緒はスナックの彼女
前にも書いたことがありますが、警察官は直属の上司が必ず部下の身上を把握するために指導監督ファイルというのを持っています。
上司は定期的に更に上の上司の決裁を受けなければなりません。
指導監督ファイルについて簡単に言うと、悩みが無いか、金に困ってないか等を定期的に確認するファイルになります。
警察官の不祥事を防ぐ為のシステムと言って間違いないでしょう。
指導監督ファイルについては以下の私のnote記事も参考にすると理解が深まります。
警察学校ってきついの?⑦(結局○○人の同期が辞めました)|元警察官日本語教師 (note.com)
ここで疑い深い上司に担当されたり、なにか問題が発覚すると突っ込んで調べられることになります。
私の一期上の先輩はスナックのホステスと付き合っていることが上司にバレてしまいました。
先輩はちょうど留置管理課に異動したばかりだったので新しい上司です。
私もこの先輩と同時に留置管理課に異動になったのでこの件についてはこの先輩から色々教えてもらいました。
当時先輩は巡査で26歳、上司は50代の巡査部長でした。
抜き打ちパソコンチェック!
先輩の上司は、先輩がホステスと付き合っていたことを知り、一抹の不安を感じたのでしょう。
休日に抜き打ちで独身寮の先輩の部屋を訪問しました。
部屋にある物だけでなくパソコンの中身もチェックされます。
そして先輩のパソコンにファイル共有ソフトが入っていることがバレたのです。
現在ファイル共有ソフトって違法?なのかよく分かりませんけど、この当時から警察内部では通達が出て明確に禁止されていました。
さらにマズイことに先輩は家のパソコンで警察関係書類を作成していたのです。
例えば地域警察官が作成する実況見分調書や報告書などです。
もしファイル共有ソフトにより書類が流出していた、となるととんでもない事態です。
被害者や住所などの個人情報も打ち込んでいますからね。
だから普通は警察署のパソコンで作成します。
この件は課長に報告され、すぐに監察事案となります。
先輩の上司は「万が一情報漏洩が確認されたら、あいつのせいで俺も首になるかもしれない。」と怯えていましたね。
腹いせか分かりませんが、留置場でガンガン先輩をいじめていました。
ところでこの件、留置管理課に異動になったばかりで、地域警察官時代の書類しかパソコンに入っていません。
ですから留置管理課に来てからの上司の監督責任ではないような気もします。
地域警察官時代の上司の監督責任が問われるべきだと思うのですが、監察がどういう判断をするかは分かりません。
先輩は毎週のように監察課の取調べを受けていました。
「てめえ、絶対警察辞めさせてやるからな。」とか監察官から毎週言われたそうです。
監察官と言ったって、結局は警察官で最近まで現場にいた連中ですからね。
被疑者の取調べと大差ないです。
監察官による取調べは週1回、3か月くらいは続いたと思います。
最後は先輩が持っていたパソコンを監察官立ち合いのもと、自分で完全に破壊して、写真を付けて報告書を作成しました。
これにて一件落着です。
結局、先輩は減給1か月の懲戒処分でした。
辞令交付に使うのと同じ県警のデザインが施された紙で、処分名が記載されているのを見せてもらいました。
懲戒処分なんて貰っても嬉しくも何ともないはずですが、こんな立派な紙を渡すのは変な感じです。
戒告以上の懲戒処分が出たということは非常に重い処分と言っていいでしょう。
前にも書きましたが、警察官の不祥事は全て懲戒処分になるわけではありません。
本部長注意、所属長注意などで終わる場合がほとんどです。
でも、例えば警察手帳を無くしたら懲戒処分の戒告です。
警察手帳は悪用されますから、重大な過失ということです。
減給はそれより重い処分です。
結局先輩は辞めずに警察官を続ける道を選びました。
先輩とは今でも連絡を取っていますが、もう10年以上前のことなのに出世や勤務希望に関してイバラの道が続いているそうです。
以下の記事にも少し懲戒処分についての記載がありますので参考にしてみてください。
交番勤務ってどうなの?④(切符紛失したら?→もちろん捜索です。)|元警察官日本語教師 (note.com)
懲戒処分などを受けてしまっては警察人生で致命的な失点といっても過言ではないと私は思います。
やってはいけないことをやったとはいえ、その代償は余りにも大きいと言わざるを得ませんね。
今回は以上となります。お読みいただきありがとうございました。
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