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現代アート研究

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現代アートを学び始めた外資系IT企業のプリセールス。 難解な現代アートを探求する学びの記録。
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2022年3月の記事一覧

NFTマーケットプレイスの闇

NFTマーケットプレイスが注目されて数か月が経ったけれど、まだまだNFT商取引が一般的とは言えないように見える。楽天がNFTマーケットプレイスに参入するとして、報道があった。 発表の時とは変わって静かにサービスローンチしたように思う。 楽天のIDを持っていれば、そのIDとパスワードでログインできる。新たな利用規約に同意する必要はあるけれど、楽天のサービスを使ったことがあれば戸惑うことは無いと思う。 並んでいるNFTを見たけれど、日刊スポーツとウルトラマンの写真コンテンツ

大学院ゼミに関わっていくという事

先週末、後輩の修士課程の修了式に参加させてもらった。修了生が、わざわざなんで、というお邪魔虫な感じがしないでもないが、修了生の一人に誘ってもらい、謙虚さの表明から断るのも無粋だと思った。 社会人向け大学院、入学年度が違うだけで人生の先輩も多い、もはや先輩、後輩という考え方もどうかと思う。話はそれるけど、外資系企業の海外の影響が強い会社は年齢をあまり意識しない。年下が上司になることもあるし、上司だった人が部下になることもある。タイミングの違いでロールが変わり、年齢によって態度

赤瀬川原平『自分の謎』

新刊として並んでいた。見れば発売は2022年2月12日、こんなタイミングで赤瀬川原平が読めるなんて イラストとエッセイで、すらすらと読める。帯書きには大人の絵本と書いてあったような気がする。 哲学や精神分析を平易な言葉で、自分事としての語り口は親近感が持てるし、分かりやすい。 頭から通して読んでも1時間かからないくらい。気になった個所をイラストとともに読めば、その時の自分の置かれた状況によって、いろいろな解釈ができるだろう。 難しく考える必要はないのでしょう。できるだ

根来展@細見美術館 鑑賞メモ

細見美術館で開催中の根来展を見にきた。漆器のコレクションであり、実際に使われていた道具が展示されている。 木地に何層もの漆をかけて、様々な食材を使う用途にも耐えられる丈夫な器が出来上がる。表面は朱漆であり、その下に黒の漆がかけられている。長年の使用によって、表面やエッジが削られており、朱色の下の黒漆が顔を出す。 用によって刻み込まれた模様、そこに見出された美。道具が美術品へと変容していく。 道具に美を見出した。美というと煙に巻かれる感じがするかもしれない。道具を愛でる。

ピエール・ユイグ 《Cerro Indio Muerto》(2016)

ピエール・ユイグの《Cerro Indio Muerto》(2016)という作品は、写真であり、縦は70cmほど、横は1mくらいであり、画面のほとんどは砂漠の地面であり、遠くに三角形の山あるいは丘が見える。画面手前の左寄りにうつ伏せになった骸骨が横たわる。砂漠といっても、石の多い場所であり、骸骨の頭蓋骨と同じくらいの大きさの石がそこかしこにある。砂漠の中には水が流れたような痕跡があり、あるいは道だったのだろうか。砂埃が立つ様子は、ここが乾燥している大地であることが想像される。

サザビーズに移籍したノア・ホロウィッツがもたらすもの Sotheby’s New Hire: Can the Auction House Lion Lie Down with Gallery Lambs?

アート・バーゼル・マイアミのディレクターだったノア・ホロウィッツが退職してサザビーズに移籍したのが昨年の8月だった。 今更ながら、移籍後のニュースをじっくり読んでみたので、メモを残す。 ノア・ホロウィッツの移籍は少し大げさに語られたよう。オークションハウスとディラーのカテゴリーが曖昧になってしまうということが懸念されたらしい。 Vanity Fair itself combined heaven and earth into a mixed metaphor to ca