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現代アート研究

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現代アートを学び始めた外資系IT企業のプリセールス。 難解な現代アートを探求する学びの記録。
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2020年12月の記事一覧

『動いている庭』 読書メモ

ジル・クレマンの動いている庭。とても今日的な内容の本だと思う。 荒地、それは人間の敗北あるいは恥の場所。土地を人間が放棄したら、そこに植物が支配を強めていく。至極当たり前ではある。 本を読み進める中で、経済学を勉強していたときのバッズ(ゴミとか大気汚染とか)についての講義を思い出した。経済学(100年くらい前だろうか)では、バッズは環境にいくらでも廃棄できたし、資源はいくらでも環境から吸い上げることができた。(もちろん、最新の経済学では、こんなことは教えていない。) 現

『さいたま国際芸術祭2020』鑑賞メモ

2020年、今年は何もかもが想定外、さいたま国際芸術祭も開催までにいろいろとあったらしい。そんなことをゼミの同級生から聞いたような気がする。 チケットは完全予約制、こんな時期だからかあまりPRはされていなかったように思う。JR大宮駅に到着しても、そうした芸術祭をやっているのかというほどポスターや横断幕を見かけなかった。 メイン会場になる旧大宮区役所、横断幕かと思ったら壁画だった。これも作品のひとつ。 3年に一度の開催のトリエンナーレ、去年と一昨年に計画を重ねてきたものと

『道草展:未知とともに歩む』@水戸芸術館 鑑賞メモ

少し前のことになるけれど、水戸芸術館の現代美術ギャラリーで展示していた道草展についてメモを残しておきたい。 今年は様々な例外があった。パンデミックという、現代に生きる人のほとんどが未体験の事柄に、嫌でも反省を強いられたように思う。何がトリガーだったのか把握していないけれど、環境に対する企業の責任が、2020年になってとりわけフォーカスされたように思う。パンデミックの終息の後は温暖化との闘いである。そう宣言する企業経営者の多いこと、日本は、そうした空気から少し遅れているように

『夢の絵本』 読書メモ

大学院のスクーリング、ゼミ生の発表で紹介されていた本。ネタバレにならないように読後感をまとめておきたい。 およそ100ページくらいの童話、右手のページに物語が、左手のページに挿絵があり、30分もあれば読み終えてしまうくらいのボリュームだと思う。 挿絵を眺めながら、物語を反芻しながら読むのが楽しい。 商業主義的な発想と行動、そうしたものが、どれほどの価値があるのか、そうした気持ちにさせる。招待状とは何か、そしてタイトルの夢が持つ多重な意味合い。 修士論文の執筆にあたり主

『六甲ミーツアート2020』鑑賞メモ

副業の大阪出張に合わせて、六甲ミーツアートを鑑賞してきた。8月頃だったか、誘われて参加した久松知子さんのスタジオビジットで、六甲ミーツアートの話を聞いて興味を持った次第。 スタジオビジットの様子は、YouTubeで公開されているけれど、リンクは載せない。 YouTube越しに見た作品を現地で見てみたいと思った。畳六枚分もある大型作品、それがどのように展示されるのか。そして、地域の交流人口を増加するという分かりやすい現代アートの活用を行うという六甲ミーツアートが、どのような