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人を疑わないチームづくり

ポラリスのゆうこりんです。Polarisに関わって7年ほど、3年前から運営チームに入って、ポラリスが運営する調布市のコワーキングスペース「co-ba CHOFU」のディレクターや、新規案件の立ち上げに関わっています。

以前書かせてもらった記事はこちら。

実は、ポラリスでの仕事のほかに、防犯ワークショップの講師業も細々とやっているのですが、その考え方と、何かあっても人のせいにせずシステムで解決しようとするポラリスの在り方が非常に似ているので、その類似点についてしたためたいと思います。


人を疑わず 景色を疑え


その防犯ワークショップでは、主に子どもをターゲットにした犯罪に対する防犯知識をお伝えしています。基礎知識をインプットした後、実際に町を歩きながら、犯罪が起きやすいキケンな場所や、安全な場所を写真に撮り、検証しながら地域安全マップを作ります。

軸となる考え方は、「犯罪を犯す人」に注目するのではなく、「犯罪が起きやすい環境(景色)」に注目しようというもの。

人に原因を求める(あの人見た目が怪しい、とか、どういう生い立ちで事件を起こしたのかに注目する立場・犯罪原因論)ではなく、環境を整えることでそもそもの犯罪機会を減らし犯罪を未然に防ぐ(犯罪機会論)ことを軸に防犯を考える立場です。

日本では、よく「不審者」という言葉が使われますね。じゃあ、不審者ってどういう人かというと「疑わしい人」、もっというと、「まだ何もしていないけど、何か悪いことをしそうな人」なわけです。よくよく考えれば、見た目だけでその人を判断するという、非常に失礼な表現でもあるわけです。

子ども好きの年配者が学校帰りの子どもたちに話しかけただけで「不審者」扱いされ、通報されてしまう時代。これは、保護者や学校が「知らない人に気をつけなさい」と教えているからです。

我が子には、「知らない人とは言葉を交わすな」「知らない人はひとまず疑え」とは教えたくなかった。それに、防犯ベルが活躍するのは、実際に危ない目にあった時。その手前で防ぐことができたらいいのに。

ちょうど子どもが小学生で、そんなことをモヤモヤ思っていたこともあり、この防犯知識に出会い、あっという間にのめり込んでしまいました。

犯罪が起きやすい危険な景色のキーワードは「入りやすく」「見えにくい」の2つです。この2つの条件がそろう場所には近づかない、誰かと一緒に通る、など気を付けましょうね、教えています。


そもそもの犯罪機会をなくす


この防犯知識に興味を持ったのは、数年前に起こった新潟女児殺人事件に関する記事を読んだことがきっかけでした。執筆者である立正大学の小宮信夫教授の防犯知識に触れ、「こんな考え方があるんだ!」と目からウロコでした。偶然にも身近に小宮教授の知り合いがいたため、「勉強させてください!」と直談判し、無事認定講師として認めてもらえました。(それにしても、すごい偶然でした・・・)

小宮教授を移転前のco-ba CHOFUにお呼びして、防犯講座を開いていただいたこともありました。

環境を整えることで、犯罪機会を減らし、被害者を減らし、犯罪を起こそうと思っている人を犯罪者にさせないという、非常に平和的な解決方法で、すごく感動したのを覚えています。

詳しい内容については、小宮教授の記事や、co-ba CHOFUのイベントレポートをぜひ読んでみてください。


ポラリス流 人を疑わないチームづくり


ポラリスで働くようになって、ミスをしても責められるということがなくなりました。それは「同じことが別の人でも起こるかもしれないから、やり方を見直そう」という思考のもとに、みんなが動いているから。

失敗しても、むしろ「ありがとう!今後出るであろう課題を早めに教えてくれて」みたいな感じで対応するシーンを多く見かけるので、「自分もそういう風に考えるようにしよう」と日々自分の思考を矯正されている感じもあります。(これが、我が子のことになると「なんでそんなことできないのーー」ていう禁句を言ってしまい、あとで一人反省したりするんですが・・・)

ミスをしても言いやすい雰囲気があり、真ん中のテーブルに出して(ポラリス用語:起こったことや情報は全てメンバー全員が見えるところで共有しようということ)、みんなで解決していこう、という風土があります。

これは、「チームで働く」ことを大前提としていて、スキルも知識もバラバラなメンバーで1つの業務を行っていくスタイルが、こういう風土を作り上げていったのだろうと思います。

早めに「小さなミス」を把握できる業務フローを構築したり、役割配分をすることで、問題が起こりにくくする。問題が起こったら、みんなで知恵を出し合いながら解決していく。

そのおかげで、ミスをおかさないかビクビクすることなく、自主的に判断しながら業務に集中することができています。


根底にある「信頼」


犯罪機会論的考え方と、ポラリスのチームづくりの考え方の根底には、「信頼」があるんじゃないかと思っています。

もちろん、この考え方は万能なわけではなく、防げないものはたくさんあります。

でも、基本は人を信じ、よくないことが起こったら、その人の能力や行動を否定するのではなく、発生した環境に目を向け改善をする。一人で解決させるのではなく、みんなで解決していく。

「入りやすく」「見えにくい」キケンな場所を、ちょっとした工夫で「入りにくく」「見えやすく」することで、犯罪を犯そうと思い立った人を思いとどまらせる。

こんな考え方が世の中のあちこちに広まっていったら、多くの人が心地よく暮らし、はたらけるのではないかと思うのです。

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