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無事にお手元に届きますように! 壊れてしまっては僕だってあなただって悲しいですからね

上の刺繍は「高木式金剛椀」の考案です。明治44年に実用新案として登録されています。木製の生地の内底に金属板をはりつけるのがポイントです。テンテンは金属を打ち付ける鋲を表しています。下が考案の図面実物になります。

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何と言っても高木式金剛椀という考案の名称が面白いです。東大寺南大門の金剛力士像が思い浮かび強そうです。お椀界の最強ということでしょうか。

金剛とは仏教用語だそうですね。最も硬い金属のことで、ダイヤモンドの原義とか。明治時代には金剛という名の戦艦もあったみたいです。戦艦もこの考案も、金剛という言葉は仏教用語だから選ばれたのでしょうか? 仏教用語が身近だったのでしょうか? 単なる流行語? 知識がなくてわかりません。今では日常に使わない言葉なので気になりました。

ふと漆器にまつわる苦い経験を思い出しました。若かりし頃ホームステイ先でお世話になった女性が結婚することになり、漆の重箱をプレゼントしようと郵便したことがありました。梱包がしっかりできていなかったせいか届いた先では無残に割れてしまっていました。せっかくのお祝いの品物も気持ちも台無しになり悲しく悔しく、縁起が悪いような感じにさせてしまい申し訳なかったのでした……。

「そんな際には高木式金剛椀ですよ! 金剛には、無事にお手元に届きますように! が込められていますからね。大丈夫です」高木さんの声が聞こえてくるような気がしました。

【使用した文献】
文献番号:登録実用新案第20725号
名称:高木式金剛椀
出願日:明治44年1月22日
登録日:明治44年5月30日
実用新案権者(考案者):高木富造
住所:岐阜市朝日町

【データベース】
特許情報プラットフォーム


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