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とある晴れた日のバスでの会話@バンクーバー

こんにちは、ぽこたにです。

カナダ・バンクーバーに来て一ヶ月が経ちました。

先日、夫と娘たち2人といっしょにダウンタウン方面に行くバスに乗っていると、わたしの隣に座ったおばちゃんが話しかけてきました。

なぜか印象に残っているのでその時の会話をここに記録します。

(※実際の会話はすべて英語です)


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おばちゃん「今日は本当にいい天気ね」

私「そうですね、久しぶりに暖かくて気持ちがいいですね」

おばちゃん「実はあと一週間で私の誕生日なの、それまでこの天気が続いてくれるといいんだけど」

私「誕生日なんですね!それはおめでとうございます!楽しみですね」

おばちゃん「ふふ、ありがとう」

(しばらく会話終了、わたしは夫や娘たちと会話)


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おばちゃん「娘さんたちはいくつなの?」

私「この子が6歳で、この子が4歳です」

おばちゃん「じゃあ2歳離れてるのね…それは大変。毎日忙しいでしょう。でも歳が近いといっしょに遊べるからいいわね」

私「そうですね、よく二人で遊んでくれるので助かってます。その分喧嘩も多いですけど(笑」

おばちゃん「私には4歳上の姉がいるんだけど、私が高校に行く頃には姉はもう卒業してしまったし、あんまりいっしょに遊んだ記憶はないわ」

私「4歳離れると、小さい頃は同じおもちゃでも遊ばないことが多いですよね。私も姉がいて歳が離れているので、幼いころいっしょに遊んだ記憶はあまりないです。今でも仲は良いですけどね」

おばちゃん「そう、それはよかったわ」

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おばちゃん「子育ては大変ね。出産は、安産だったの?」

私「(カナダにも突然安産か聞いてくるおばちゃんいた!)安産…というか帝王切開だったんです、2人とも」

おばちゃん「まあ、そうなの。2人とも」

私「上の子が生まれつきの心臓病があって、それで。なので下の子も帝王切開になったんです。今でも帝王切開の大きな痕がお腹に残ってますよ」

おばちゃん「まぁ心臓が。穴があいてるの?」

私「いえ、穴ではなく、本来開いてるはずの場所がふさがっちゃってたんです」

おばちゃん「私のボーイフレンドが心臓に穴が開いてるの。今もよ。しかもこの前心臓発作を起こして。だけど、ちょうど私がタイミングよく帰宅したからすぐに発見してあげられて、助かったの」

私「奇跡的なタイミングですね。心臓マッサージをしたんですか?」

おばちゃん「背中のマッサージをね、できるだけ酸素が脳に行くようにこうマッサージしてあげるのよ(さする仕草)」

私「(背中マッサージ…?)そうなんですね、無事に回復してよかったです」

おばちゃん「ほんのちょっとの差で危険だったから。すごいタイミングだったの」

私「本当に奇跡ですね。心臓発作は時間が勝負と言いますし…すぐに対応できてよかったですね」

おばちゃん「本当に、たまたま帰宅した時だったの。こういう奇跡ってあるものね。それで彼は先週誕生日があって、無事62歳になったの。私は来週の誕生日で62になるの。ふふふ、誕生日も近いのよ」

私「いろんな奇跡がありますね。来週の誕生日、晴れるといいですね」


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(バスがチャイナタウン辺りを通る)

おばちゃん「この辺はだいぶ綺麗になったわ」

私「きれい…道が綺麗になったということですか?」

おばちゃん「そう、前はもっと汚かったんだけど」

私「そうなんですね。私はつい最近引っ越してきたばかりなので、以前のこの辺りをよく知らないんです。コロナの前はどんな感じだったんですか?」

おばちゃん「あら?ここに来る前はどこにいたの?」

私「日本です。実は先月、家族で日本から引っ越してきたばかりなんです」

ここで一瞬、昨今のアジア人に対するヘイトクライムのことが頭をよぎり、コロナもあるのにわざわざ最近日本から来たなんて言わない方がよかったかも…と考える(ちなみにおばちゃんは白人)

おばちゃん「まあ!日本から直接ここに来たの?遠いのにすごいわね、娘さんたちも連れて」

私「大変でした、コロナがあるので…めちゃくちゃ隔離とか検査したんです、出発前も自主的に隔離、入国してからも隔離、検査なんて3回もしたんです」(←とっさに安全アピール)

おばちゃん「遠いところから来たのね。私は前まで West の方に住んでいたの」

私「(西…?)バンクーバー島の方ですか?」

おばちゃん「ウエスト・バンクーバーよ。でも今はバンクーバーのダウンタウンに住んでるの。犬を飼ってるからね、犬がいられる家を見つけて住んでるの」

私「犬を飼っているんですか、いいですね。わたしも昔犬を飼っていたことがあります。本当にかわいいですよね」

おばちゃん「娘さんはてんとう虫は好きかしら?ほらお嬢ちゃん見てごらん、私のカバンにてんとう虫のチャームがついてるの。綺麗でしょう?」

(娘たちは無言でキラキラ光るてんとう虫のキーホルダーを見つめる)

おばちゃん「ほら、耳にも。イヤリングもてんとう虫なのよ。素敵でしょう?てんとう虫は幸運を呼ぶの。だからつけてるのよ」

私「てんとう虫は幸運の意味があるんですか?それは知りませんでした。素敵なチャームですね」

おばちゃん「そういえば日本語ならひとつだけ知ってるわ。Konnichiwa。合ってる?」

私「合ってます合ってます!」

おばちゃん「日本のどこから来たの?Honshu?」

私「ホン…そうです、本州です。本州の、大阪はご存じですか?大阪の近くから来ました」

おばちゃん「大阪は知らないわね…東京なら知ってるけど。東京は本州にあるの?」

私「あります!東京は本州です。よくご存じですね!」

おばちゃん「40年前の授業の記憶が蘇ったわね(笑)そういえば日本語は3つ知ってるわ。こんにちは、ありがとう、さようなら。」

私「その3つさえ知っていれば、いつでも日本に来られますね」

おばちゃん「ふふふ。フランス語ならもっと分かるんだけどね。昔フランスに住んでいたのよ。そしてボーイフレンドもフランス人なの。フランス人はかっこいいのよ」


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そしておばちゃんは目的地に着くと、無言で席を立ち、そのまま静かにバスを降りていきました。

とある晴れた日の昼間、バスの中での会話でした。

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