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紫陽花にひとり、なにを思うか

近所を歩いていると、紫陽花の花がちらほら咲き始めているのに気付いた。
5月も下旬。そろそろ梅雨入りか、と実感する。

雨は私にとって時おり憂鬱な気分を運んでくるけれど、雨が降り出す直前のしっとりした匂いや、しとしとと降る音は好きだ。
そして、紫陽花の花も。

淡い水色、紫色、ぴんく色。絵の具を水に溶かし、それを布地ににじませたかのような色合い。
紫陽花という字面からして、あの花にぴったりだと思う。
そのくせ、根っこに毒性があったり、花のように見える部分はがくだったりするなんて、なんというギャップ。
しとやかでいて、強い。凛とした美しさが6月の街中に溢れている。

紫陽花は英語で「ハイドランジア」。
「水」を意味するというその響きは、私の耳にすっと馴染む。
紫陽花、あじさい、ハイドランジア。
呪文のように心のなかで唱えているうちに、なんだか楽しくなってきて、梅雨の低気圧だって目じゃない気がしてくる。

私は私の心の赴くままに、すきなものを愛せる。
その自由は、きっとなにものにも代えがたく、私をわたしでいさせてくれるのだろう。

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