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フジノヤマイ(1/3)

夕飯を残したことがよっぽど珍しいのか、ママは具合でも悪いの?と、ぼくのおでこに手を当てた。
変ねえ、熱はないみたいだけれど。自分のおでこの熱さと比べながら、首を傾げている。
弟は、ぼくが箸もつけずに残したハンバーグを狙っている。こいつはハンバーグが大好きなんだ。
いつもだったら絶対に分けてなんかやらないところだけれど、今日は、いいや。全部お前にやるよ。ぼくはなんだかお腹がいっぱいで、何も食べられそうにないんだ。


とにかく早めに寝なさい、というママの言葉に素直にしたがって、ぼくはさっさと2階へ上がった。
弟と二人で使っている子ども部屋。壁に貼っているポスターは、弟が大好きなアニメの主人公だ。
あいつはまだ2年生で子どもだから、雑誌の付録のポスターやシールを、すぐにべたべたと貼りまわるんだ。ぼくはもう5年生で大きいから、そんなことに興味はない。
そりゃ、ゲームは大好きだし、アニメだって、弟と一緒にたまに見たりもするけれど。


パジャマに着替えると、ぼくはベッドにもぐりこんだ。
何だか胸のあたりがもやもやしている。
布団をかぶり、暗闇の中で考える。
もしかしたら、ぼくは重い病気にかかっているんじゃないだろうか。
ひょっとしたら、フジノヤマイっていうやつかもしれない。
いやな考えは、いったん浮かぶとなかなか消えない。それどころか、どんどん大きく膨らんでゆく。


もしぼくがフジノヤマイだったら、長い間入院することになるんだろうな。

入院したら、クラスのみんなは、ぼくのお見舞いに来てくれるんだろうか。

あいつは・・・・・・

タカハシは、来てくれるのかな。

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