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自分だけの荷物

子どもの頃、家族でスーパーに行くと必ず一つ好きなお菓子を買ってくれた。

おまけ付きのお菓子。

わたパチのような刺激的なもの。

ねるねるねるねのような実験的なもの。

自分なりに頭を悩ませながらひとつだけカゴの中に入れた。

その選ぶ時間も楽しかったが、もう一つ私には好きな時間があった。

それは袋詰めの作業。

レジに商品を通した後、母は私と兄にお豆腐等を入れる小さな袋を一枚づつ渡した。

「これに自分のお菓子を入れなさい」と言って。

私と兄はそれを受け取ると自分が選んだ一つだけのお菓子を袋に入れて大切に運んだ。

私はこの時間が好きだった。

自分が選んだものが特別扱いされたような気がして。

手の中の自分だけの荷物にワクワクした。

大人になった今は一つだけと言わず、好きなだけお菓子を買うことが出来る。

でも、小さな袋に入った自分だけの荷物だったあのお菓子にはかなわないなあとふと思うのだ。

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