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感情を育てる

以前、子どもの感情の育ちについて気になって本を読み漁ったことがありました。

最近お子さんの癇癪のことで相談を受け、お母さんの対応が気になったのでまた本を読み返し、私なりにまとめてみようと思いました。


私が参考にしたのは大河原美以さんの本です。


保護者向けのわかりやすく書かれたものから、専門家向けの論文的な本までありますが、どの本も言っていることは同じです。
脳科学から理論的に感情の育ちについて書かれていて、子どもが感情を表現できるようになることの大切さ、それには大人が子どもの気持ちに共感をすることが必要であることが説かれています。

感情は共感されることで育ちます。
共感されて言葉にされることで、ただ湧き上がるだけのモヤモヤしていたものが、「悲しい」とか「寂しい」とか「悔しい」とか名前のあるものなんだと理解して、感情を言葉で伝えることができるようになります。これが感情の社会化です。

感情の社会化ができるようになると、感情を自分でコントロールできるようになっていきます。


もし感情が共感されないと、感情のコントロールができないまま大きくなってしまったり、もしくは感情を抑えるようになってしまい、思春期頃に心の問題や問題行動として現れることが多くなります。


子どもが泣きそうな場面になると
「痛くないよ」
「怖くないよ」
「大丈夫大丈夫」
などと大人は言ってしまいがちです。

だけど、それは子どもの感じている感情を否定することになります。
すると、脳は混乱をし、最終的には感じた感情をなかったことにしてしまいます。

そうすると、感情は育たず、理解することもできないので、感情に蓋をしてしまうようになったり、言葉で気持ちを伝えられずに泣き喚いたり暴れたりして表現したりすることが続きます。
感情に蓋をすると、おとなしいので、一見いい子に見えますが、感情をずっと抑えているので、いっぱいいっぱいになった時に爆発することがあったり、心の病気になったりすることがあります。
特に思春期以降です。

一時期、世間的には高学歴のいい子の未成年が大きな犯罪を犯す事件が多発して話題になりましたが、あれは、いい子でいるために感情を出せなかったために、行き場のなかった感情が犯罪という形で爆発してしまった結果です。


また、自分の感情が共感される経験をすることで、他者の感情も理解して共感できるようになります。

人に優しくしてほしいと思うなら、まず自分の感情を知ることから。
まず子ども自身の感情を大切に育ててあげることが必要です。


少し厳しい言い方になってしまいますが、人に優しくしてほしいと思う親御さんは、他人の感情の方が大切なのでしょうか?
1番大切なのは、目の前の自分の子どもの心ではないでしょうか。
まずは自分の子どもの心を大切にしてあげてください。
人から大切にされると、人のことも大切にすることができるようになります。


子どもの負の感情について親や支援者が共感できずにざわつくのは、親や支援者自身の心が影響しています。

子どもの頃に「泣いてはいけない」「わがままを言ってはいけない」「人に迷惑をかけてはいけない」などと育てられていると、普段から感情を自分が抑圧しているため、子どもが感情を出していると気持ちが落ち着かなくなったりイライラしたりするのです。


そして、癇癪の時には、落ち着くのを待ってから共感です。
癇癪にもいろいろなパターンがあるので、一概には言えませんが、基本的には共感をします。感情を言葉にしてあげてください。

大人も感情的になって怒ったりしてはいけません。つい言いたくなってしまいます。
泣き喚かれるとうるさいし、煩わしいし、他に人がいる場だと人の目が気になるし、時間もないし、何より自分の心もざわざわします。
ついやめさせようとしたくなります。

だけど、怒っても逆効果で、余計ひどくなることが多いです。
もし怒ってやめさせることができるようになったとしたら、子どもの脳が感情を抑えてしまうようになり、上述したような心の問題が出てくることになります。

宥めようとしてお菓子を与えたりするのはよくないです。
癇癪を起こしたらお菓子がもらえると学習してしまいます。
大人は我慢して、子どもが落ち着くのを待ちます。


身体や言葉の発達についてはよく言われていても、感情や心の育ちについては知られていないことが多いと思います。
だけど、心がすこやかに育つことも大切です。

感情を素直に出せる子どもを育てていきたいです。


そして、子どもと関わる大人の心にも目を向けてみてほしいと思います。


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