一億総玉砕バーベキュー
わざわざ俺が造語しなくても、もうすでに言葉があると思うんだよな。
社会学者だの経済学者だのがすでにその現象を分析して、より的を得た用語を用意してくれている気がしてならない。
俺の知識の中で一番近かったのは、「囚人のジレンマ」。
結局みんなが損をするっていう点では一緒なんだけど、一億総玉砕バーベキューの場合は、各人が(形式上)みんなの利益を考えてるってところが違う。
一億総玉砕バーベキュー。
みんなが働いた結果、かえって仕事全体の流れが滞り全員が損をすること。
バーベキューとは言ったものの、別にサークルのカレー作りでも、はては友達との宅飲みでも起こる。
なので一億人もいない。せいぜい10人かそこら。
だから、全滅の宅飲みって言ってもいいけど。
語感がいいのと、一億総玉砕に含まれる「無駄とわかっていてもやらざるをえない同調圧力」的なニュアンスを活かしたかった。
なので一億総玉砕バーベキュー。
俺が最初に気づいたのは宅飲み。
「うぇーい、宅飲みすんべ」ってなって大学生が誰かのアパートに集まった場合を想定してください。
近所のスーパーで野菜と肉とお菓子と、ほ ろ よ い をしこたま買ってきて、鍋パ。
一億総玉砕はこの鍋を作る時に起こります。
一般大学生なんて1Kに住むのが関の山。
なのでキッチンと言ってもこの程度。
大体これが玄関の廊下沿いに備え付けてある間取りが大半。
この狭いキッチンが重要なファクター。
1人しかスペースがないんだから、だれか一人に料理を任せるほうが効率的だと思うのですが。
そんな不平等はよくない!
仕事はみんな平等に負担すべきだ!!
ということで積極的にみんな手伝いをしようとするわけです。
その実、サボっていると思われたら自分がいないところでどんな陰口を言われるかわかったもんじゃないっていうのが動機。
その結果発生する。
冷蔵庫の前で友達が料理するのをただ見ている奴。
具材を切る係と鍋で料理する係という謎の分業。
ただでさえ狭いキッチンに成人男女3人がひしめきあって、一つの鍋を作るという非効率が発生するわけです。
俺はというと、そんなことはお構いなしにリビングでスマホしてたんですけど。
苦しみから無縁かというとそうではない。
料理する人が寒く(夏の場合は暑く)ならないよう、リビングのドアを開け放したがために、結果廊下もリビングも同じだけ寒い(暑い)、という有様。
もうこれで終わってもいいけど。
BBQの場合も語っておく。
基本は同じ。
まさか全員がトングを片手に肉をひっくり返すわけにもいかず、最初に気の回ったやつが肉の番。
ほんで、お茶を人数分注ぐやつがいて、紙皿と箸を配るやつがいて。
それでも仕事を見つけることができずに、空の皿と割ってない割りばし持ってぼさっとつっ立ってるやつが何人かいて。
あ、そうだ。
ぼさっとつっ立ってるやつってだいたい女(偏見)。
やっぱり、肉を食わせたら交尾できるっていう原始人の頃からの約束があるせいか、男がせっせと肉を焼いて、それを女が(上の)口を開けて待ってるって構図が多い(偏見)。
それはさておき。
BBQにおける一億総玉砕は、肉が焦げる・味わえないというかたちで具現化します。
みんながみんな何か気をつかって、肉に手を出さず要らん仕事に勤しんだ結果、肝心の肉はどんどん焦げていき、いざ食おうにも、「椅子が足りねえ」だの、「誰の皿かお茶かわからん」だの、「おい、そっち肉行ってるかぁ」だの混乱が起きて食うに食えず。
最終的にみんなが焦げた肉と、炭と化した玉ねぎを食うしかなくなるのです。
っていう話。
なんかまとまりがねえな。
要約すると、
「各人が自分以外のメンバーに気を使ったせいで、組織の効率が悪くなって、利益が減る」
ってなるのかな。
「囚人のジレンマ」とも違うし、「組織の硬直化」とも違う。
目先の肉より大切な「いい思い出」さえも無くなってしまう魔の現象。
それが、一億総玉砕バーベキュー。
なんかもっといい用語知らない?
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