大学業務における生成AI利用の入門/体系
◆ 大学業務における生成AI入門
愛媛大学・教育企画室主催の大学職員のための生成AIコーディネーター養成講座の講師を務めました。
156ページにわたり、生成AIの基本から利用・活用のマインドセットとテクニック、組織的に整備するための知識をまとめています。(基本編は事前課題として提供していたので、資料の後半にまとめています)
◆ 大学業務における生成AI利用の体系
早稲田大学アカデミックソリューション主催の大学業務ソリューションセミナーに登壇しました。上述した「入門」を圧縮して50分の尺に合わせ、「理解」「目的」「利用」「整備」の四観点を体系として提示しました。
⚠️完全版は「入門」の資料をご参照ください。⚠️
入門と体系の必要性
もちろんここで示した入門や体系が全てではないし、改善の余地がある。現在地を示すためにやってみたまでである。ご批判ください。
2023年11月30日にChatGPTはリリース1周年を迎えた。私の想定では全人類がChatGPTと対話する世界が訪れているはずだった。とんでもない。想定を遥かに上回る、普及の遅さ。私の見積もりが甘かった。
私も特段、AIを生業とする人間ではなく、当初は生成AIに直面した大学組織の動向を知りたい程度の心持だった。しかし個人的な調査と利用を続けているうちに、それなりの知見が蓄積・整理されてきたので、入門を謳う講座を実施するに至った。
また「ちょうどいい教材が無い」ことは常々感じていた。
様々なシーンでアドホックに生成AIを使ってみた、使った所感やTips/一方で専門家が執筆した論文、LLM評価用データセット、RAGアーキテクチャはあれど、その中間、生成AI利用のために不可欠な考え方やリテラシー及びそのカリキュラムはまだ集約されていない。好例としてGenerative AI Testが挙げられるが、今はまだ自動車免許取得のための筆記試験のような雰囲気を拭えない(当該テストの合格者なので多少の偏見は許してほしい)。大学という現場に沿う内容でもない。
つまり、入門・体系を作った一番の理由は、AIの技術先行とAIデバイドを避けることである。AIの開発者・研究者が技術を追及することは当然だが、私たち(組織の人間)は技術導入時に吟味すべき内容を追及すべきである。そしてAI利用者と非利用者による格差は広がりつつある今、リテラシーを養う道具があるに越したことは無い。
入門の中で触れなかった具体的な使い方や利用方法の整理(readingとwriting等)は、11月30日に作成したP4Us、またオンラインかつ無料の演習型講座を通じてレクチャーできるかもしれない。また大学職員の業務経験に落とし込むために現場に出向くorシミュレーションによる実証が必要だと考えている。有識者に意見を伺いながら(私も職員論を勉強しながら)進めるべきだろう。
なお「体系」登壇中にいただいた質問、生成AIを具体的に利用するためのプラットフォームと勉強方法は以下の記事を参照いただきたい。
さいごに:PwCの実態調査
実は既に、私の敬愛する方から「"体系"はあかんやろ」的なご指摘を受けている。すみません。またバージョンアップしますので何卒ご容赦を。
以下、ここまで読んでいただいた方へ。
12月7日、PwCコンサルティンググループが国内企業を対象に生成AIに関する実態調査を実施した結果を公表している。5月時の調査と比較して、以下の点が明らかになった。
生成AIに対する認知・推進度合いが大幅に向上
生成AI活用推進のモチベーションが「他社に負けないこと」にある
多くの企業が人材・ノウハウ不足に直面している
半数以上の回答者が今後1年以内の生成AI本格導入を検討しており、生成AI活用による成果が問われるタイミングが訪れている
今後は本格的に導入する企業・組織が増えるだろう。ただし、組織構成員が生成AIを使いこなせるリテラシーを持てるのか、もしくはリテラシーを必要としないインターフェースが普及するのか、それは定かではない。人材・ノウハウ不足解消の努力は継続して続けられる必要があるだろう。
おつかれさまでした。ではまた。
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