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今日は海の日|詩のソムリエがえらぶ海の詩BEST3

こんにちは、めぐ@詩のソムリエです。
4連休ということを最近知りました(フリーランスあるある)🌊

さて、今日は「海の日」。海で遊ぶ日、だと今日の今日まで思っていましたが、海に感謝する日らしいです。
そこで、感謝を込めて(?)海といえば…の詩を3篇ご紹介します。



1 シンプルで奥深い。心を離れない美しいフランス詩

はじめにご紹介するのは、フランスの詩人コクトーの「耳」(堀口大學訳)

私の耳は貝の殻
海の響(ひびき)をなつかしむ    
Mon oreille est un coquillage Qui aime le bruit de la mer. 

"la mer"が「海」で、フランス語ではmère(母)と同音です(漢字の「海」にも「母」という字がありますね)。 coquillage(貝)はサンティアゴの巡礼の印でもあるから、「回帰」をイメージさせる言葉でもあるように思います。

美しく、なつかしい思い出、「母なるもの」を思い起こす、短い詩ながらイメージの奥行きの深い詩です。

私がこの作品に出会ったのは小6。美しい貝殻を紹介する見開きのページに載っていて釘付けに。小学生がことばにできない衝撃を受けるくらいですから、理屈なしに心に響く歌。俳句のように短く、愛唱しやすい詩です。
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ちなみに、訳者・堀口大學は母を幼い頃に亡くしており、この詩からインスピレーションがあったようで詩作にいかしていたりもしますが、この話はまた近いうちに。


2 充実は海を見つめる心のなかにある


次は、白樺派・千家元麿(せんげ・もとまろ)の「海」です。

海が見える
充溢(じゅういつ)した歓喜で
張り詰めたやうな
海面の美しさ
何といふ静かな力のこもつた海
永遠の緑を深く湛へて
盛り上がつている海
日に輝いて純白な帆が
花のように流れている

元麿は、たいへん複雑な家庭にありましたが、やがて自分で家庭を築き、堂々と自然や人間を賛美する詩をたくさん残しています。海も美しいけれど、海をながめている詩人自身の充足を感じる詩です。

3 人生はいつか終るが 海だけは終らない

最後は、寺山修司の詩です。

「かなしくなったときは」

かなしくなったときは
海を見にゆく

古本屋のかえりも
海を見にゆく

あなたが病気なら
海を見にゆく

こころ貧しい朝も
海を見にゆく

ああ 海よ
大きな肩とひろい胸よ

どんなつらい朝も
どんなむごい夜も
いつかは終る

人生はいつか終るが
海だけは終らないのだ
(一部抜粋)

生きていると、かなしくなったり、人生がうまくいかなかったり、「あなたが病気になった」りします。そんなとき、海を見にゆく。それは、「人生はいつか終るが/海だけは終らない」から。劇作家でもある寺山修司らしく、
劇中歌のような雰囲気のリズムが心に畳み込んできます。

角川文庫の『寺山修司少女詩集』の最初の章は「海」。ほかにもおもしろい詩がたくさん載っているのでぜひ!

以上、「海の日」3選でした。
お子さんと夜に読みたい、工藤直子さんの「日記」という詩もとてもすてきなので、気になる方はこちらから読んでみてください。

明日は「体育の日」なので、体育にちなんだ詩を紹介します!

そのお気持ちだけでもほんとうに飛び上がりたいほどうれしいです!サポートいただけましたら、食材費や詩を旅するプロジェクトに使わせていただきたいと思います。どんな詩を読みたいかお知らせいただければ詩をセレクトします☺️