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イベレポ|意味と音のあいだで遊ぶ!子どもも大人もハマった「おのおのオノマトペ」

豊かなオノマトペの世界へ、どぼん!


突然ですが、ここに、一杯のうどんがあるとします。
ツルツル、もちもち、つやつや、ほかほか、ちゅるん。知っているだけでもたくさん「オノマトペ」(擬音語・擬態語)がでてきますね。

じゃあ、そこに卵をおとしてみよう。麺と卵がからみあって、いい感じになっている姿はなんていえばいいんだろう。うまいこと表す言葉はないかな。うーん。てろりてろり、かな? とろちゅるりん、かな?

日本語は、様子や心の動きをあらわすオノマトペが豊かな国だと言われます。(「ばたん」と「ぱたん」、あるいはカタカナにして「パタン」では質感が変わるのもおもしろい。)

それでもまだまだ、「名付けられていない」状態がありますね。
ちなみに、日本の詩を切りひらいた萩原朔太郎や中原中也、宮沢賢治というひとたちは、オノマトペをつくりだす天才でもありました。

そこで。そんな楽しいことばたちをとことん味わい尽くすべく、おのおの(=人それぞれ)のオノマトペを作って遊ぼう!ということで、「おのおのオノマトペ」と題するワークショップを10月1日に実施しました。
(主催:FACT 福岡県障がい者文化芸術支援センター)

すると!

思いがけない新しいオノマトペが生まれたり、みんなでひとつの詩作品ができちゃったり。子どもも大人も夢中になって、自分の心とからだにしっくり来る「おのおのオノマトペ」を探して表現しました。

その様子をちょっとだけお届けします。

それぞれの表現が立ち上がる瞬間を見つめて

さぁ!楽しい時間のはじまり!

最初はことばの準備体操!しりとりや、クイズを楽しみました。

ぞわぞわって、赤と黒のこんな感じ」とK(左)が絵を書いてくれています。
先生になりたいM(中央)は、今の気持ちを考え中…。

「今の自分の気持ち」をテーマに、3人一組で詩をつくります。はじめまして同士の3人でしたが、すばらしいチームワークで3グループともそれぞれ素敵な詩ができましたよ〜。

この詩作は、「みんなで作ると、すごくいいものができた」「一人の力じゃできないおもしろさがあった」と好評でした!自分からは出てこない言葉と出会えるのは、ワークショップの醍醐味ですね。

「今の気持ちは?」という問いに、「たつお」と書いてくれたYくんに、おとなは興味津々。「ねぇねぇ、これどう発音するの?」という質問に、眠たそうに「たつおぉ〜…」とYくん。眠っていて、起き上がりたくない気持ちなんだそう。なーるほど!それを聞いて、寝っ転がってみるみなさん。


できた詩の発表も、寝転がって起きるところからはじまりました
演出もみなさんでそれぞれ工夫。

全員で、ひとつの詩ができるか?チャレンジ!

最後は、「秋」をテーマにオノマトペを考えて持ちより、ひとつの詩をつくるというチャレンジをしました!

芸術の秋…スポーツの秋…食欲の秋。さまざまな秋があるから、ひとつの詩になるかなぁ〜と思ったのですが、
「トタン、はクリの落ちる音だから、りすがどんぐりを食べる"シャリシャリ"の前だよ」
「風の音を並べてみよう」
など、あれよあれよという間に、並べ替えて、ひとつの詩が出現!

タイトルはどうする?と聞くと、「秋の森」「世界の音」と子どもたちから出てきたので、あわせて「秋の森 世界の音」というタイトルに決定。

ひとりひとり、自分のオノマトペを工夫して読みながら、朗読をしました。あまりにいい詩ができちゃって、わたしは鳥肌。みんな、じっくり何度も読み返していました。大成功!

みなさんいい笑顔

「秋の森 世界の音」

トタン
シャリシャリ
ほくりほくり
くるんところんと
すとんすとん
サフサフ
しゅーはらしゅーはら
べみべみ
さすたさすた
しゅーうん しゅしゅしゅしゅ
ホフホフフー ホフホフフー
ほほーんほん ほほーんほん
ほろふほろふ
ひゅうひゅう しゅうしゅう
ほろろーん ろろろん
タソッカキ タソックリ

どうですか?どんな風景が、光が、動きが見えてきますか?
栗が落ちる「トタン」からはじまり、風の音や、虫の声、いろんな生き物の気配に満ち、全体を見ると秋から冬へかわっていくさまを表現しました。(とはいえ、受け取り方は自由です!)

朗読には、子どもたちによるカリンバやマラカスを使った伴奏も入り、詩作には絵も入り…と、五感で思いっきりオノマトペを楽しんだ、贅沢な一日でした。みなさん、ありがとうございました!

終わりに:詩がうまれる瞬間

参加者さんが「秋になると空が高くなる感じ、あれをなんて表現すればいいのかなぁ」と言っていたのも印象的でした。たしかに「空が高くなったなぁ」って毎年思っているのに、ぴったり来る表現がない!

ワークショップ後も、空をみあげて、じぶんのなかで音を探しています。
こうして、名付けられていないものを、どうにか表現したい気持ちが、詩を生むのだなぁという原始的なことにも気づかされました。

オノマトペって、意味と音のちょうど間くらいにあるのでしょうか。
論理という世界に属しきっていない、野生のことば。

だからこそ、子どもは勢いよくオノマトペに飛びつき、生み出していくのかも。おとなになると、感性と体と頭とが、チグハグになっていくのを、オノマトペによってゆっくり取り戻していくような…そんなシーンもあったようです。

身の回りに見え隠れする、オノマトペ。これからも言葉となかよくしながらみなさんが過ごしてくれたらうれしいなぁと思います。

★お知らせ★
同じ内容を、久留米シティプラザでも10月14日(土)に実施します。
お子さんも、おとなだけの参加ももちろん大歓迎です!

▼お申し込み・お問い合わせ
megwatanabe7@gmail.com

参加者さんの感想

▼おとな

・はじめてで、できるかなと思ったけど、音に気持ちや思いついたことを乗せるのは楽しい。普段もやってみたい。
・こころがかろやかになりました。 もっと日本語をたのしんでいきたいです。
・表現はいろいろあっていいと気づかされた。
・日頃、数字ばかり見ているからなんだか癒やされた
・あっという間だったし、ゆったりと心地よかった。ことばのキャッチボールを、普段丁寧にやらないことに気づいた。
・こどもたちの発想はとても豊かで、サラサラと新しいオノマトペが生まれる中で、おとなも負けじと表現している様子がとてもおもしろく、時間を忘れてしまうほど楽しんでしまった
・今あるオノマトペだけでなく、創作するという体験で、自分ならばこの一瞬をどう表現するかという新しい気づきが ありました。自分なりの表現を探求していく過程は自分の頭と心と体がつながる時間でした。
・今日は谷川俊太郎になれたようでうれしかった。単純な言葉に深い意味を感じた。日常の出来事をオノマト ペで表現すると気持ちが豊かになりそう。
・オノマトペは想像力をフル回転できますね。 自分が思いつかないようなオノマトペを聞けて刺激にな りました。 

一部抜粋

▼子ども

・いろんなオノマトペをしれてうれしかったです。(小2)
・ほんとにいろいろなオノマトペをしっていたとはわからな くてこんかいしって、オノマトペとは、すごい物だと知り ました。またあったときは来たいです。(小3)

最後まで読んでくれてありがとうございます!
今日もすてきな一日になりますように。
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