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今週の詩(白露)|露(北原白秋)

こんにちは。詩のソムリエです。

今週のはじまりは、「草露白し」。露は朝晩の気温が下がる日によく見られ、秋の季語です。

このあいだの朝、畑でミントをつんで座っていたら、朝露がキラキラとたまっているのを見ました。しみじみ見ていると、露がまるい形でとどまっているのがふしぎで、ちょっと指ではじいてみたり。じっと見ていられる姿でした。

そういえば、子どものときも車の窓の雨粒とか、永遠に眺めていられたな。
そんな無心にもどれる詩です。

露     北原 白秋

草の葉に揺れゐる露の
落ちんとし、いまだ落ちぬを、
落ちよとし、見つつ待ちゐて、
落ちにけり。驚きにけり。

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純粋な驚きのつまったみじかい詩です。じっと見つめる視線や、露の動きもスローモーションのように鮮明に。

「露」は古今東西の詩や文学のなかで、「はかないもの(命)」の隠喩として使われています。たとえば、この歌が有名です。

「白玉か何ぞと人の問ひしとき露と答へて消えなましものを」
(伊勢物語『芥川』・『新古今和歌集』)

あえてそういった感傷から離れたところに、この詩の成功がある気がします。

自然を観察していて、すなおに心から驚いて詩にした作品はいろいろありますが、身近だからこそ詩に昇華するのは意外とむずかしいものです。

おなじく北原白秋の詩に

薔薇バラノ木二
薔薇バラの花サク。
ナニゴトノ不思議ナケレド。

「薔薇二曲」(詩集『白金之独楽』より)

という心に残る作品があります。園芸をしていると、ほんとうにこの通りだと感動します。

三好達治(みよし・たつじ)もこの手の詩の名手で、

蟻が
蝶の羽をひいて行く
ああ
ヨットのようだ
(「土」)

といった味わい深い作品も。


白秋について知りたい方はこちらもぜひ!若かりし頃の恋愛の話です↓

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