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神に呼びかけるタゴールの詩

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インドの詩人、ラビンドラナート・タゴールの詩を集めました。『ギーターンジャリ』より引用し、テーマごとに紹介しています。
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2021年6月の記事一覧

『ギーターンジャリ(歌の捧げもの)』タゴールの詩(5)旅立ちの歌

『ギーターンジャリ(歌の捧げもの)』タゴールの詩(5)旅立ちの歌

インドの詩人、タゴールの詩を紹介するシリーズ。5回目は旅を思う歌を集めました。

歓喜(よろこび)の海路(うみぢ)より
 今日 寄する沖つ波
皆人よ 今 櫂(かい)取りて 漕ぎ出(い)でな
 皆人よ 出で立たな

浄く真白き帆に孕(はら)む
美(うま)し微風(そよかぜ)

後方(しりへ)に騒ぐ波の音
 高鳴る大空
面(おも)に さし来る 朝日影

船出の情景です。

遠方(をちかた)に 眼を見開き

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『ギーターンジャリ(歌の捧げもの)』タゴールの詩(4)もの思いの歌

『ギーターンジャリ(歌の捧げもの)』タゴールの詩(4)もの思いの歌

インドの詩人、タゴールの詩を紹介するシリーズ。4回目は暗くもの思う歌を集めました。

咽喉(のんど)に 歌を求めて 空し
 言ふ術(すべ)知らに 口吃(ごも)る
 詮方(せんかた)なし わが生命(いのち) 泣く
 君 われに わなをかけ
  われを包む 歌の網に

歌の師である神に呼びかけようとも、歌を編めずに悔やむタゴールです。

わが心 固陋(かたくな)なれば
君 寄りますに相応(ふさは)ねど

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