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あれは・・・妖精だと思う

人生最大級のピンチだった。
クロアチアのドゥブロヴニクで起こった出来事。あの時、私を救ってくれたのは、”妖精”だったのではないかといまだに思っている。

クロアチア周遊、一人旅。首都ザグレブからスタートし、海岸線をバスで南下、いくつもの絶景に出会い、最終地は「アドリア海の真珠」といわれる観光地ドゥブロヴニク。
バスで到着してすぐにホテルへ向かった。旅の最後だからデラックスホテルを予約していた。観光地から少し離れた閑静なところにあり、敷地内にはビーチや森もあり、着いたとたんそのエリアの次元の違うような感じに魅了された。

部屋のベランダにはプチ花壇があり、ラベンダーが咲いていた。いい香り。その先にはビーチが見える。うれしくなって、ホテル探検開始。廊下の先に非常口と思われるドアがあった。外はどんな眺めなのかな?ドアを開けて外に出るとそこには、優しさを感じるような森がひろがっていた。うれしさがまたこみあげて、油断したとたん、背後でドアがバタンと閉まった。外からは開けられない。あせりモードへ急降下。

まずは冷静になって状況把握から。
下へ続く階段はない。踊り場だけ。
半地下があるので、1.5階くらいの高さ。
ホテルの裏になるので、誰も人は通らない。
これって絶体絶命、大ピンチ!

もう一度、冷静になって考える。
どうやって地上に降りるか。
打撲ですむような着地の仕方や、衝撃が和らぐような下り方などを考えた。あとは勇気をだすだけ。
”神様、助けて~” 必死に祈った。

飛び降りる勇気がわいてくるのを待っている時、下を見るといつのまに、どこから来たのか、ひとりの男性が立っていた。
「中に入れなくなってしまったの」と言うと、彼は両手をひろげて受け止めるようなポーズをした。
彼の腕、ケガさせないかな…
受け止められるかな…
いろんな不安は瞬時に消えた。
飛び降りるしかない!
彼の腕の中にジャンプ!!

どう飛び降りたのか記憶にない。
受けとめられた時、さほどの衝撃はなかったことに驚いた。ドスっというより、フワっという感じ。
私はようやく地上に降り立った。
心からいっぱいにあふれでる感謝の気持ちを彼に伝えた。
「サンキュー、ありがとう、サンキューソーマッチ」
「お名前教えてくれますか?」
何度聞いても返事がない。英語通じないのかな? とにかく感謝。

エントランスの方へ歩きはじめ、最後にもう一度、お礼を言おうと振り返ったら…彼の姿はどこにもなかった。5秒くらいしかたっていないのに、どこに行ったのだろう?
どこを見ても彼はいない。

「ひょっとして、、森の妖精?」
音もなく現れ、言葉を一切話さず、すぐに姿を消した。どう考えても、そうとしか思えない。

何年もたった今でも、あれは妖精だったと信じている。

#私の不思議体験

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