雲ひとつない空からのメッセージ
朝一番に空を見上げたら、ブルーのキャンパスだけが空に広がっていた。いつもあるはずの「雲」がない。360度見渡しても雲がひとつもない。こんなことってあるのか、なぜか不安になった。
きっと今までも雲がひとつもない空ってあったはずだけど、見たことがない気がする。いや、目に入っていても認識していなかったのだろう。
雲は人間の想念と共鳴するという。消えろっと念をとばせば消えてしまうし、願ったとおりの形にもなってくれる。
子供の頃、雲と遊んだことを思い出した。小さな雲を見つけフーフーと息を吹きかけると雲は遠くへ流れていった。消すつもりでフーフーすると、雲は次第に薄くなりそのうち消えてなくなった。子供心に、雲は簡単に操れるものなんだと思った。
ずっと長いこと忘れていた雲との遊び。大人になってから「雲って消せるんだよ」なんて言おうものならおかしな奴と思われるだろう。だから言わない。大人になるって、人の目を気にする事、それが社会性っていうもの。社会という枠組みからはみでることを怖れ、自分の中にある「他にはないもの、変わっているもの」を見せないように隠してしまう。実はそれが自分らしさだったり、自分の強みや魅力だったりするのに。
雲が消せないのは、雲なんて消せるわけないって思っているから。消してやるぞという意気込みもいらない。理屈でなく、気合でもなく、子供の時のような純粋な心であれば誰にでもできるのだ。
でも、私はもう雲を消すことはしない。この世界に無駄なものなど何一つない。人であれなんであれ、空にふわふわ浮かぶ小さな雲でさえ存在する意味があってそこに存在するのだ。だから私が勝手に消してはいけないような気がする。
雲ひとつない空が私の心を映し出しているのなら、なんの不安も恐れもないクリアな状態。このまま進んでいけばいい、そういうことなのだろう。雲がないことへの不安が消え、安心してただ青いだけの空を見つめた。
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