心に染みた美しい瞬間

天気予報では雨続き。晴れている間に外の空気を吸って体を動かそうと思い、夕方、お寺に向かった。そこは小高いところにあり、さえぎるものなく空が見渡せるのでお気に入りの場所。私は本殿前、境内を見渡せるところで空を眺めていた。

運動している人、犬を連れて散歩している人、お参りしている人・・・。目的が違ういろんな人たちが、同じ瞬間、境内にいる。

ゴーン、ゴーン、、、梵鐘の音が辺りに響き渡った。鐘番の人が鐘をつく様子を境内にいた人たちが皆見つめている。体を梵鐘の方に向けて、動きを止めて鐘の音に耳を澄ましている。私は少し上の場所からその姿を眺めて感動していた。

皆、鐘の音を聞きながら何を思っているのだろうか。
「災害や見えない脅威が去り、みんなが安心して豊かに暮らせる日が一刻も早く訪れますように」
この鐘の音を聞きながらとっさにそう祈った人がきっといるだろう。そんな気がした。この瞬間、いろんな人が誰かのために祈っている、そう思った。

ゴーンゴーン、清浄な音が心に染みていく。夕焼け空、祈る姿、すべてが美しかった。